【シバ犬🐾簿記論】特殊商品売買
目次
一般商品売買と特殊商品売買 ―「発送=売上」とは限らない!
| 社長 | よーし!今月も商品をどんどん発送したぞ!発送したら即売上!これで業績アップだな😆 |
| 経理 | 社長、それは一般商品売買を前提にした考え方ですね。通常は出荷基準(発送基準)で売上を計上します。 |
| 社長 | おっ、「通常は」って言ったな? 例外があるのか? |
| 経理 | はい。それが特殊商品売買です。商品を発送しても、その時点では売上を計上できない取引があります。 |
| 社長 | えー!? もう相手に送ってるのに?😢 |
| 投資家 | 売上は「発送したか」ではなく、実現したかどうかで判断する。そこを誤ると財務諸表は信用されない。 |
| 経理 | そのとおりです。一般商品売買では、国内取引などで到達日数が短いため、便宜的に出荷基準が認められているだけなんです。 |
| 社長 | なるほどなぁ…普通はOKでも、特別な売り方だとダメってことか💦 |
| 経理 | はい。未着品売買、試用販売、委託販売、割賦販売などは、仕入や販売形態が一般商品売買とは違って特殊なんです。 |
| 社長 | でもさ、売上にできないなら、発送した事実はどうやって帳簿に残すんだ? |
| 経理 | そこで使うのが、特殊商品売買特有の処理方法です。代表例が、手許商品区分法と対照勘定法ですね。 |
| 社長 | また難しそうな名前が出てきたな😵 |
| 経理 | 手許商品区分法は、商品を発送した事実を原価で記録する方法で、対照勘定法は、売価で発送を記録する方です。 |
| 投資家 | どちらも共通点は、「発送しても売上は計上しない」という点だ。 |
| 社長 | なるほど!売上じゃないけど、動いたこと自体はちゃんと記録するわけだな。 |
| 経理 | そのとおりです。そして、売上計上のタイミングは取引形態ごとに異なります。 |
| 投資家 | どの方法を使うかで、利益の見え方も財務諸表の印象も変わる。そこが試験でも実務でも狙われるポイントだ。 |
| 社長 | よーし分かった!これからは「発送したから売上!」って短絡的に考えないぞ🐾 |
| 経理 | それが特殊商品売買攻略の第一歩ですね。 |
未着品売買 ―「モノは来てない、でも仕入れてる!?」
| 社長 | 白柴くん!海外から商品を仕入れたぞ!まだ船の上だけど、もうウチのモノだよな?😆 |
| 経理 | はい社長。その取引は未着品売買ですね。現品は未到着でも、貨物代表証券を入手した時点で実質的に仕入と考えます。 |
| 社長 | えっ!?商品が届いてないのに仕入なのか?💦 |
| 投資家 | 貨物代表証券は商品そのものを支配できる権利だ。モノがなくても、会計上は同じ意味を持つ。 |
| 経理 | そのとおりです。貨物代表証券を表す勘定科目が未着品です。 |
| 社長 | なるほど、「まだ着いてない商品」って意味で未着品か! |
| 経理 | はい。代表例は貨物引換証や船荷証券ですね。特に外国との取引でよく使われます。 |
| 社長 | で、その証券が届いたらどう処理するんだ? |
| 経理 | 手許商品区分法を使います。未着品は、通常の商品と区別して管理する必要があるからです。 |
| 投資家 | 未着品は「在庫」だが、倉庫にない在庫という位置づけだ。 |
| 社長 | ふむふむ…。じゃあ、商品が実際に届いたら? |
| 経理 | その時点で、未着品勘定から仕入勘定へ振替します。以後は通常の商品と同じ扱いです。 |
| 社長 | じゃあさ、商品が届く前に、その証券を他人に売ったらどうなる?😏 |
| 経理 | それが貨物代表証券の転売です。これは商品の販売と同じ効果があります。 |
| 投資家 | 証券を売った時点で、売上計上が可能になる。ここは一般販売と同じだ。 |
| 経理 | はい。未着品売買では、仕入は証券入手時、売上は証券転売時がポイントです。 |
| 社長 | モノは動いてないのに、帳簿はフル稼働だな😵 |
| 経理 | だからこそ、未着品売買は「仕入が特殊」な取引と言われるんです。 |
| 投資家 | 試験でも実務でも、「未着品=仕入じゃない」と勘違いした瞬間にアウトだ。 |
| 社長 | よし覚えた!**未着品は来てなくても仕入、証券を売れば売上!**だな🐾 |
試用販売 ―「発送=売上」じゃないから、売価で記録!
| 社長 | 白柴くん!うちも通信販売を始めるぞ!まずはお試しで商品を送るんだ😆 |
| 経理 | それは「試用販売」ですね。一定期間使ってもらって、買うかどうか後で決める取引です。 |
| 社長 | じゃあ、発送した時点で売上だな? |
| 経理 | いいえ💦 試用のための発送、つまり試送は、まだ売上ではありません。 |
| 投資家 | 売上は「お客さんが買取りの意思表示をした時」だけだ。試用中は、まだ客のモノじゃない。 |
| 社長 | なるほど…。じゃあ発送した事実はどう記録するんだ? |
| 経理 | そこで使うのが、「対照勘定法」です。 |
| 社長 | おっ、また出たな!対照勘定法😵 |
| 経理 | 対照勘定法では、試送した事実を売価で記録します。具体的には、試用品(対照勘定)を使います。 |
| 投資家 | 手許商品区分法が原価なのに対し、対照勘定法は売価。ここが最大の違いだ。 |
| 社長 | でも売価で記録するって、売上じゃないのか? |
| 経理 | そこがポイントです。売上勘定は使いません。あくまで「発送した」という事実を、売価で示しているだけです。 |
| 社長 | なるほどなぁ…見た目は派手だけど、売上じゃないのか😅 |
| 経理 | はい、得意先から買い取る旨の意思表示を受けた時点で、はじめて売上を計上します。これを「買取意思表示基準」と言うんですね。 |
| 社長 | じゃあ、もし「やっぱ要りません」って返されたら? |
| 経理 | その場合は、試送時の処理を取り消すだけです。売上返品ではありません。 |
| 投資家 | 売上計上前だからな。試送返品にすぎない。 |
| 社長 | よし整理できたぞ!試送=売価で記録、売上は意思表示の時!だな🐾 |
| 経理 | その理解で完璧です。これが試用販売・対照勘定法の基本です。 |
委託販売 ―「送っただけじゃ売上じゃない!在庫の居場所を分けて考えよう」
| 社長 | 白柴くん、うちの商品さ、全部自分で売るの大変だし、他の会社に販売を任せることにしたぞ!😆 |
| 経理 | それは委託販売ですね、社長。自社(委託者)が商品を送り、受託者が得意先に販売する形です。 |
| 社長 | なるほど!じゃあ、商品を送った時点で売上でいいな? |
| 経理 | いいえ💦 商品を送っただけでは売上にはなりません。 |
| 投資家 | 重要だな。販売を「委託」しているだけで、所有権はまだ委託者側にある。 |
| 社長 | じゃあ、この「送る」行為って、何て言うんだ? |
| 経理 | 委託販売では、商品を受託者に送ることを**積送(せきそう)**と言います。 |
| 社長 | 積送か。なんか物流っぽいな😅 |
| 経理 | はい。そして、この積送時に使うのが手許商品区分法です。 |
| 社長 | おっ、また出たぞ、その言葉! |
| 経理 | 手許商品区分法では、自社倉庫にある商品と、受託者の倉庫にある商品を区別します。 |
| 投資家 | 場所は違うが、どちらもまだ「在庫」だ。 |
| 経理 | 具体的には、積送した時点で、原価で仕入勘定から「積送品」勘定へ振替します。 |
| 社長 | つまり、ウチの倉庫からは出たけど、まだ売れてない在庫ってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。積送品は棚卸資産で、貸借対照表では商品に近い位置に表示されます。 |
| 社長 | じゃあ、受託者が売ってくれたら? |
| 経理 | 受託者が販売した日が、委託者である当社の売上計上日になります。 |
| 投資家 | 原則は受託者販売日基準だ。上場会社ならこれ一択だな。 |
| 社長 | もし売れ残って、商品が返ってきたらどうなる?😢 |
| 経理 | それは積送返品です。売上計上前なので、売上返品ではありません。 |
| 社長 | じゃあ処理は? |
| 経理 | 積送時の仕訳を、貸借反対にするだけです。積送品を仕入へ戻します。 |
| 投資家 | 売上計上前か後か。ここを間違えると、答案は崩壊する。 |
| 社長 | よし整理できたぞ!**積送=在庫の移動、売上は受託者が売った日!**だな🐾 |
| 経理 | 完璧です。これが委託販売の手許商品区分法の基本です。 |
積送諸掛 ― 積送したら終わりじゃない!?
| 社長 | なあ経理、委託販売で商品を受託者に送ったけど、送料とか運賃ってどう処理するんだ? |
| 経理 | それが「積送時の諸掛」です。商品を積送するときにかかる運賃・荷造費などですね。 |
| 投資家 | それって全部その期の費用でいいんじゃないの? |
| 経理 | そこがポイントです。積送諸掛には 2つの処理方法があるんです。 |
| 社長 | お、2パターンあるのか。 |
| 経理 | はい。①原価算入 と ②販売費処理 です。どちらでも共通して言えるのは、期末積送品に対応する分は繰り延べるという点です。 |
| 投資家 | まだ売れてない商品に対応する分は、次期に回すってことだね。 |
① 原価算入の場合
| 経理 | まずは 原価算入。積送諸掛を「積送品の原価の一部」と考える方法です。 |
| 社長 | つまり、商品代金と一緒に考えるわけだな。 |
| 経理 | そのとおりです。商品を積送したとき、諸掛も積送品勘定に含めます。 |
| 投資家 | じゃあ、売れた分だけが売上原価になる? |
| 経理 | はい。諸掛を含めた積送品原価のうち、販売された分だけが当期の売上原価になります。 |
| 社長 | 期末に残った積送品に対応する諸掛は? |
| 経理 | 積送品勘定に残るので、自然に繰り延べられます。 |
| 投資家 | なるほど。決算整理がシンプルだね。 |
② 販売費処理の場合
| 社長 | もう一つの販売費処理ってのは? |
| 経理 | 積送諸掛を「原価」ではなく、販売活動にかかる費用と考える方法です。 |
| 投資家 | じゃあ、販売費及び一般管理費の仲間? |
| 経理 | そうです。ただし注意点があります。「販売費処理」といっても、科目名が販売費という意味ではありません。 |
| 社長 | 性質が販売費ってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。通常は 「積送諸掛費」 などの科目を使います。 |
| 投資家 | でも、全部当期費用にしちゃダメなんだよね? |
| 経理 | はい。ここでも、売れた分に対応する諸掛だけが当期の費用になります。 |
| 社長 | じゃあ、期末に残った積送品分は? |
| 経理 | 決算整理で、積送諸掛費の一部を繰り延べます。 |
| 投資家 | 原価算入と違って、ここは決算整理が必要なんだね。 |
まとめ
| 社長 | つまり、積送諸掛は「どう考えるか」で処理が変わるわけだ。 |
| 経理 | はい。・原価算入:積送品に含める → 自然に繰延べ・販売費処理:積送諸掛費で処理 → 決算整理で繰延べ |
| 投資家 | どちらでも共通なのは、「売れた分だけが当期費用」って点だね。 |
| 社長 | よし、委託販売は「積送しただけでは終わらない」ってこと、しっかり覚えたぞ! |
受託者の諸掛り 引かれてる!?でも売上はどっち?
~受託者の諸掛と「販売高基準・手取高基準」~
| 社長 | 経理、この前の委託販売だけどさ、受託者からの入金が思ったより少ないぞ? |
| 経理 | それは、受託者が 保管料や販売手数料などの諸掛を差し引いて送金しているからです。 |
| 投資家 | つまり、受託者が立て替えたり、もらったりする分だね。 |
| 経理 | はい。そして重要なのは、受託者の諸掛は最終的には委託者負担だという点です。 |
① 仕切精算書と受託者の諸掛
| 社長 | その内訳って、どうやって分かるんだ? |
| 経理 | 受託者が作成する 仕切精算書で確認します。 |
| 投資家 | 売上明細書みたいなもの? |
| 経理 | そのとおりです。販売高から、保管料・手数料などを差し引いた残額が、委託者に送金されます。 |
| 社長 | なるほど、差し引かれてるけど、勝手に引かれてるわけじゃないんだな。 |
② 販売高基準と手取高基準
| 社長 | じゃあ、この場合、うちの売上はいくらで計上するんだ? |
| 経理 | そこで出てくるのが、販売高基準と手取高基準です。 |
| 投資家 | 名前だけで混乱しそうだな。 |
| 経理 | シンプルに言うと、・販売高基準:差し引かれる前の金額で売上計上・手取高基準:実際に入金された金額で売上計上 |
| 社長 | 売上の「金額の考え方」の違いってことか。 |
③ 販売高基準の場合(総額主義)
| 経理 | まず 販売高基準です。これは 総額主義に相当します。 |
| 投資家 | 売上はフルで立てて、引かれた分は別で処理? |
| 経理 | そのとおりです。売上は「販売高」で計上し、受託者の諸掛は費用として計上します。 |
| 社長 | 費用の科目は決まってるのか? |
| 経理 | 特に決まりはありません。問題文に応じて「販売費」「支払手数料」「支払保管料」などを使います。 |
| 投資家 | 売上も費用も、ちゃんと見える形になるわけだね。 |
④ 手取高基準の場合(純額主義)
| 社長 | じゃあ、手取高基準は? |
| 経理 | 手取高基準は 純額主義です。 |
| 投資家 | つまり? |
| 経理 | 売上は、受託者から送金された金額だけを計上します。 |
| 社長 | じゃあ、受託者の諸掛は? |
| 経理 | 売上と相殺されるため、費用としては計上されません。 |
| 投資家 | シンプルだけど、内訳は見えにくくなるね。 |
⑤ まとめ
| 社長 | なるほどな。受託者の諸掛そのものより、「売上をいくらで立てるか」が本質なんだな。 |
| 経理 | はい。・販売高基準:売上=販売高、諸掛=費用計上・手取高基準:売上=送金額、諸掛は相殺 |
| 投資家 | 総額主義か純額主義か、って整理すると覚えやすいね。 |
| 社長 | よし、委託販売の数字がスッと見えてきたぞ! |
割賦販売 ―「いつ売上?」を決めるのが最優先!
| 社長 | よっしゃー!高級掃除ロボを原価48万円・販売価格80万円で売ったぞ!しかも8万円×10回払いだ!売上ドーンだな😆 |
| 経理 | 社長、ちょっと待ってください。割賦販売では、まず**「いつ売上を認識するか」**を決める必要があります。 |
| 社長 | え?売ったんだから、もう売上でいいんじゃないの?💦 |
| 経理 | それが「販売基準」ですね。でも、割賦販売では回収基準という考え方もあります。 |
| 投資家 | 売上の金額より、どの時点で利益を認めているかが重要だ。そこを見誤ると財務諸表は読めない。 |
| 社長 | なるほど…じゃあ今回は回収基準で考えるとどうなるんだ? |
| 経理 | 決算までに3回分、24万円を回収していますよね。回収基準なら、この回収分に対応する利益だけを計上します。 |
| 社長 | でもさ、方法が2つあるんだろ?漢字が強そうなやつ😢 |
| 経理 | はい、未実現利益整理法と対照勘定法です。でも安心してください。利益は同じになります。 |
| 投資家 | 方法よりも、回収基準=回収分だけ利益を認識という軸を外すな。 |
✏️ ここで前提整理(図解イメージ)
- 販売価格:80万円
- 原価:48万円(原価率60%)
- 売上総利益:32万円
- 回収額:24万円 → 利益は 32万円 × 24 / 80 = 9.6万円
第2話 方法が違っても、利益は同じ? ~未実現利益整理法 vs 対照勘定法~
| 社長 | じゃあまず、その未実現利益整理法ってやつから頼む! |
| 経理 | はい。これは見た目は販売基準と同じです。つまり、売上高80万円・売上原価48万円まで計算します。 |
| 社長 | お、普通の商品売買みたいだな! |
| 経理 | ただし最後に、利益を調整します。回収分に対応しない利益を繰延売上利益控除として差し引くんです。 |
| 投資家 | 全部売った形にしてから、利益だけ削る。それが未実現利益整理法だ。 |
| 社長 | なるほど…最終的な利益は9.6万円か。 |
| 経理 | 次に対照勘定法です。こちらは、回収したときにだけ売上を計上します。 |
| 社長 | じゃあ売上はいくらだ? |
| 経理 | 回収額の24万円です。原価率60%なので、売上原価は14.4万円、利益は同じく9.6万円になります。 |
| 社長 | あれ?売上の数字は全然違うのに、利益は同じだ😲 |
| 投資家 | そのとおり。収益認識基準が同じなら、処理方法が違っても利益は一致する。 |
| 経理 | なお、対照勘定法では、引き渡し時に売上を計上しないので、**備忘記録(メモ仕訳)**を使います。 |
| 社長 | ああ、帳簿に「引き渡した事実」を残すためのメモだな🐾 |
| 投資家 | 備忘記録はP/LやB/Sを動かさない。勘定科目名に振り回されるな。 |