【税理士試験】簿財(簿記論・財務諸表論)の試験内容・受験者数・合格率 まとめ一覧

税理士試験を検討している受験生にとって、「簿財(簿記論・財務諸表論)」は最初に挑戦することの多い科目です。多くの受験生がまずこの2科目から突破を目指すため、全受験科目の中でも特に情報が多く、毎年出題傾向の分析が活発に行われています。

この記事では、簿記論・財務諸表論の 最新の試験内容、出題形式、傾向、過去10年の合格率推移 をまとめています。はじめて受験を考える方でも理解しやすいよう、ポイントを整理して解説します。

目次

1.簿記論・財務諸表論の試験内容と出題傾向

■ 簿記論(計算メイン)

試験時間:9:00~11:00(1日目)
出題形式:

  • 第1問:個別問題(25点)
  • 第2問:個別問題(25点)
  • 第3問:総合問題(50点)

特徴:

  • 計算問題が中心。
  • 商業簿記・商的工業簿記を幅広く出題。
  • 特に第3問の総合問題は分量が多く、時間配分が勝負。
  • 「スピード」と「ミスの少なさ」が合否に直結する科目。

毎年、出題論点そのものは大きく変わりませんが、問題文の分量や資料が増えており、処理能力の高さが求められる傾向が続いています。

■ 財務諸表論(理論+計算のハイブリッド)

試験時間:12:30~14:30(1日目)
出題形式:

  • 第1問:理論問題(25点)
  • 第2問:理論問題(25点)
  • 第3問:計算問題(50点)

特徴:

  • 会計基準や概念フレームワークなどの理論問題が中心。
  • 記述式で、語句・論点の正確な理解が必要。
  • 第3問の計算は簿記論ほど量は多くないが、財務諸表作成の理解が得点の鍵。

財務諸表論は「文章で説明できるか」が重要で、簿記論とは異なる力が求められるため、両科目の勉強バランスをどう取るかが受験戦略のポイントになります。

2.簿記論・財務諸表論の受験者数、合格者数、合格率の推移

試験年度簿記論財務諸表論
和暦西暦受験者数合格者数合格率受験者数合格者数合格率
平成26年度2014年度17,7422,33613.2%13,3722,40618.4%
平成27年度2015年度15,7832,96518.8%12,2021,90615.6%
平成28年度2016年度13,9361,75312.6%11,4781,75515.3%
平成29年度2017年度12,7751,81914.2%10,4243,08129.6%
平成30年度2018年度11,9411,77014.8%13,8281,77012.8%
令和元年度2019年度11,7842,05217.4%9,2681,75318.9%
令和2年度2020年度10,7572,42922.6%8,5681,63019.0%
令和3年度2021年度11,1661,84116.5%9,1982,19623.9%
令和4年度2022年度12,8882,96523.0%10,1181,50214.8%
令和5年度2023年度16,0932,79417.4%13,2603,72628.1%
令和6年度2024年度17,7113,07617.4%13,6651,0998.0%

■ 受験者数の推移から見る最近の動き

  • 令和5年度(2023年度)から「受験資格の完全撤廃」 により、学歴・職歴に関係なく誰でも受験可能に。
  • その結果、令和5年度・令和6年度は受験者数が増加。特に簿記論は17,000人を超える水準に回復。
  • 一方で、受験者の層が多様化したこともあり、年度によっては合格率が大きく変動。

3.簿財の勉強を始める前に知っておきたいポイント

● 簿記2級よりもはるかに難しい

簿記論・財務諸表論の計算問題は、日商簿記1級と同レベルの出題が含まれます。
簿記2級を学んだ後に進む方が多いですが、相当の覚悟が必要です。

● 理論対策は“とにかく毎日触れる”

財務諸表論の理論は、「書けるまで覚える」ことが不可欠です。
単語だけ覚えても点にならず、会計基準・概念フレームワークの趣旨まで理解することが大切。

● 最終的には「スピード」が勝負

簿記論はもちろん、財務諸表論も計算は時間との戦い。
基本問題を何度も繰り返して、手を動かして体に覚え込ませる勉強が有効です。

4.まとめ:簿財は「最初の壁」であり「基礎作りの要」

簿記論・財務諸表論は、税理士試験のスタートとして最も選ばれる科目です。
計算・理論の両方を鍛えられるため、他の会計科目(法人税、消費税)にも良い影響があります。

  • 計算力 → 簿記論で鍛える
  • 理論力 → 財務諸表論で鍛える
  • 会計基礎力 → 両科目で総合的に身につく

どちらも難易度は高いですが、きちんと対策すれば合格できる科目です。
受験者数の増加や出題傾向の変動はあるものの、合格のために必要な対策は普遍的です。

目次