【シバ犬🐾財務諸表論】連結財務諸表に関する会計基準

目次

第1話 連結財務諸表の作成目的 ~グループ全体を“ひとつの会社”として見る!~

社長白柴くん、最近うちの子会社も増えてきたし、そろそろ“連結決算”とかいうのを出さなきゃいけないらしいんだが…あれって何だ?うちの決算と別物なのか?
経理はい社長。連結財務諸表は、親会社と子会社を合わせた“企業集団全体”の財務状況を、ひとつの会社みたいにまとめて報告するものです。
社長へぇ~、つまりグループ全体の“家計簿”みたいなもんか!💰
経理そのとおりです!親会社が子会社を支配している関係を前提に、グループの財政状態や経営成績を総合的に報告します。
投資家われわれ投資家としては、グループ全体でどれだけ稼ぎ、どんな資産や負債を持っているかが重要なんだな。個別決算だけでは、実態を見誤ることもあるからな。
社長なるほど、個別の会社ごとじゃなく、グループの“全体像”を示す決算ってわけだ🐾

条文穴埋問題

連結財務諸表の作成目的

1. 本会計基準は、連結財務諸表に関する会計処理及び開示を定めることを目的とする。連結財務諸表は、 支配従属関係 にある2つ以上の 企業からなる集団( 企業集団)を 単一の組織体 とみなして、 親会社 が当該企業集団の 財政状態経営成績 及び キャッシュ・フローの状況 総合的に報告 するために作成するものである。

用語の定義

 「親会社」とは、 他の企業 の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「 意思決定機関 」という。)を 支配 している 企業 をいい、「子会社」とは、当該 他の企業 をいう。親会社及び子会社又は子会社が、 他の企業 意思決定機関 を支配している場合における当該 他の企業 も、その親会社の子会社とみなす。

連結財務諸表作成における一般原則

真実性の原則

9. 連結財務諸表は、企業集団財政状態経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関して 真実な報告 を提供するものでなければならない。

基準性の原則

10. 連結財務諸表は、 企業集団に属する親会社及び子会社が 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準 に準拠して作成した 個別財務諸表 を基礎として作成しなければならない。

明瞭性の原則

11. 連結財務諸表は、 企業集団の状況に関する判断を誤らせないよう、利害関係者に対し必要な財務情報を 明瞭に表示 するものでなければならない。

継続性の原則

12. 連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続は、 毎期継続 して適用し、 みだりに これを変更してはならない。

連結の範囲

13. 親会社は、原則として すべての子会社 を連結の範囲に含める。
14. 子会社のうち次に該当するものは、連結の範囲に含めない。
(1) 支配が 一時的 であると認められる企業
(2) (1)以外の企業であって、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業


連結決算日

15. 連結財務諸表の作成に関する期間は 1年 とし、 親会社 の会計期間に基づき、年1回一定の日をもって連結決算日とする。

子会社の資産及び負債の評価

20. 連結貸借対照表の作成にあたっては、 支配獲得日 において、 子会社の資産及び負債の すべて 支配獲得日の時価 により評価する方法( 全面時価評価法 )により評価する。

21. 子会社の資産及び負債の時価による評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額(以下「 評価差額 」という。)は、子会社の 資本 とする。

第2話 連結基礎概念 ~親会社中心? それともグループ全体?~

社長白柴くん、連結決算って“誰の立場”で作るんだ? やっぱりうち(親会社)中心?
経理連結財務諸表の作成に関する基本的な考え方、「連結基礎概念」といったりしますが、これには「親会社説」と「経済的単一体説」という2つの考え方があります。
社長おっ、なんか対立構造っぽいな…どっちが今の主流なんだ?
経理かつては親会社説が主流で、連結財務諸表は“親会社株主のため”に作られていました。でも今は、企業集団全体をひとつの経済体とみなす経済的単一体説に重心が移ってきています。
投資家経済的単一体説では、非支配株主も“グループの一員”とみなす。したがって、連結貸借対照表では非支配株主持分も資本の一部として表示されるのだ。
社長つまり、昔は「親会社だけの成績表」だったのが、今は「グループ全体の成績表」になったってことか!
経理そのとおりです!連結損益計算書の当期純利益も、グループ全体での成果を示すようになりました。
社長なるほど~。これで、うちのグループの“ほんとの力”が見えるわけだな🐾

理論記述問題

Q.連結財務諸表の作成についての考え方(連結基礎概念)における「親会社説」とはどのようなものか?

A.親会社説とは、連結財務諸表を親会社の株主のために作成するものと考え、連結財務諸表を親会社の財務諸表の延長線上に位置づけて、親会社の株主の持分のみを反映させる考え方をいう。

Q.連結財務諸表の作成についての考え方(連結基礎概念)における「経済的単一体説」とはどのようなものか?

A.経済的単一体説とは、連結財務諸表を企業集団全体の株主のために作成するものと考え、連結財務諸表を親会社とは区別される企業集団全体の財務諸表と位置づけて、企業集団を構成するすべての連結会社の株主の持分を反映させる考え方をいう。

白柴経理

これまでは「親会社説」が中心的な考え方とされてきましたが、少数株主持分も含めて企業集団全体の実態をより適切に表示する観点から、近年では「経済的単一体説」へと重心が移りつつあります。

Q.これまでは「少数株主持分」という名称だったものを、平成25年改正会計基準では「非支配株主持分」へ変更したのはなぜか?

A.他の企業の議決権の過半数を所有していない株主であっても他の会社を支配し親会社となることがあり得るため、より正確な表現とするためである。

Q.非支配株主持分が貸借対照表上、株主資本以外の項目とされるのはなぜか?

A.非支配株主持分は、子会社の資本のうち親会社に帰属していない部分であり、親会社株主に帰属するものではないから。

第3話 子会社の判定基準 ~ “持株数”より“支配力”が決め手!~

社長新規事業だ!子会社作ってガンガン拡大だ、みんな準備はいいか?🐾
経理社長、その前に「子会社の判定基準」を押さえておきましょう。
社長連結する会社って、うちが株をどれだけ持ってるかで決まるんだろ?
経理昔はそうでした。議決権の過半数を持っているかで判断する「持株基準」です。
社長じゃあ51%なら子会社、50%なら違うってことか?単純だな!😆
投資家半分ちょうどは過半数じゃない。1株1議決権で、過半数を持てば経営を支配できる。
経理ただし、今は考え方が変わっています。現在は「支配力基準」が採用されています。
社長支配力基準?株の割合だけじゃないのか?
経理はい。議決権割合だけでなく、実際にその会社の意思決定を支配しているかで判断します。
社長え、じゃあ50%でも実質的にうちが仕切ってたら子会社ってこと?💦
投資家そのとおりだ。形式よりも、経営を支配している実態が重視される。
経理これにより、議決権を一時的に減らして連結を外すような操作も防げます。
社長なるほど~、“実質支配”がカギってことか!
経理なお、親会社と子会社は一心同体と考えるため、子会社が持つ議決権も親会社分に含めて判定します。
社長つまり、親会社+子会社の持分を合算して過半数なら、支配しているってことだな!
投資家そうだ。ただし、破産手続や再生手続中の会社などは例外になる。
経理また、単独で過半数を持たなくても、緊密な関係者の存在や役員支配など、一定の要件を満たせば子会社になる場合もあります。
社長「一定の要件」って難しそうだな💦どう覚えればいいんだ?
経理試験では、資料に「一定の要件」に該当する根拠があれば、その内容に従って判断すれば大丈夫です。
投資家迷ったら資料に従え。それが試験の鉄則だ。
社長なるほど…見た目より中身、そして試験では資料重視ってことだな🐾

理論記述問題

Q.子会社の判定基準における「持株基準」とはどのようなものか?

A.持株基準とは、親会社が直接・間接に議決権の過半数を所有しているかどうかにより判定を行う基準をいう。

Q.子会社の判定基準における「支配力基準」とはどのようなものか?

A.支配力基準とは、実質的な支配関係の有無に基づいて子会社の判定を行う基準をいう。

Q.連結会計基準において、「支配力基準」が採用されているのはなぜか?

A.議決権の所有割合が50%以下であっても、その会社を事実上支配しているケースもあり、そのような被支配会社を連結の範囲に含まない連結財務諸表は、企業集団に係る情報としての有用性に欠けるから。

第4話 関連会社の判定 ~「重要な影響」をどう見るか?~

社長子会社の次は関連会社か。関連会社って何が違うんだ?
経理関連会社は、当社が重要な影響を与えることができる会社です。典型は議決権が20%以上50%以下のケースです。
社長今度は20%丁度でもいいんだな。それにしても20%で影響あるのか。意外と少ないな!
経理はい。また、先ほど同じように、当社と当社の子会社を合わせて20%以上なら関連会社に該当します。
投資家20%未満でも、実質的に影響力があるなら関連会社だ。役員派遣や重要取引の依存度などが判断材料になる。
社長じゃあ、20%未満で売上の大部分が当社向けなら関連会社になるの?
経理はい。試験では、資料に「一定の要件」を示す根拠(例:売上の80%が当社向け)があれば、その資料に従って関連会社と判断してよいです。😌
投資家また、破産等で影響力が行使できない場合は関連会社には該当しない。
社長まとめると、子会社=支配(過半数等)関連会社=重要な影響(20%前後や実質的影響)ってことだな!🐶

例題

当社が保有している下記の銘柄の株式について、 子会社株式・関連会社株式・それ以外の判定をしなさい。

銘柄帳簿価額備 考
A社株式14,800千円当社は A社議決権の 55% を所有している。
B社株式28,600千円当社は B社議決権の 18% を所有している。(注1)
C社株式11,200千円当社は C社議決権の 8% を所有している。
D社株式72,400千円当社は D社議決権の 35% を所有している。(注2)
E社株式39,000千円当社は E社議決権の 28% を所有している。(注3)
F社株式26,500千円当社は F社議決権の 22% を所有している。
G社株式17,300千円当社は G社議決権の 12% を所有している。(注4)

(注1) 当社と緊密な関係がある者(当社の役員)が B社議決権の 9% を所有している。また、当社は B社へ重要な取引信用を供与している。
(注2) D社の取締役会の構成員の過半数を、当社が推薦した役員が占めている。
(注3) A社は E社議決権の 22% を所有している。
(注4) 当社は G社へ重要な技術支援を提供している。

解答・解説

  1. A社株式 — 子会社株式
    • 当社がA社議決権の過半数(55%)を直接保有しているため。
  2. B社株式 — 関連会社株式
    • 当社の直接保有は 18%(20%未満)だが、(注1)より、当社の役員がB社議決権の 9% を保有、かつ当社がB社へ重要な取引信用(重要な融資)を行っている。
    • 役員の保有や重要な融資により 重要な影響(significant influence) が認められるため 関連会社(associate) と判断。
  3. C社株式 — どちらにも該当しない
    • 当社の直接保有は 8%のみのため。
  4. D社株式 — 子会社株式
    • 当社直接保有 35%(単純には20〜50%の範囲)。しかし注記:(注2) D社取締役会の過半数を当社が推薦した役員が占めている(実質的支配)。
    • 取締役会支配により実質的に意思決定を支配しているため 子会社 と扱う。
  5. E社株式 — 39,000 千円
    • 当社直接保有 28%(通常は関連会社に該当する範囲)。しかし注記:(注3) A社(当社の子会社)が E社議決権の 22% を保有。
    • 当社はA社を支配(A社は子会社)しているため、グループの議決権合計 = 当社(28%) + A社(22%) = 50%
    • この合計保有により当社グループがE社の意思決定に支配的な影響力を持つと判断し、子会社 と扱う(※上で述べた前提に基づく)。
  6. F社株式 — 26,500 千円
    • 当社直接保有 22%。直接保有が20%超であり、特に他に支配を示す事情もないため 関連会社(associate) と判断。
  7. G社株式 — 17,300 千円
    • 当社直接保有 12%(単独では少数)。しかし注記:(注4) 当社がG社に対して重要な技術提供をしている。
    • 技術提供という依存関係によりG社は当社からの重要な影響を受ける可能性が高く、関連会社(associate) と判断。

参考条文

企業会計基準第22号 連結財務諸表に関する会計基準(HTML版PDF版

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