第1話 賃貸等不動産とは ~営業用不動産とは別物!~
| 社長 | 最近、会社で駅前のビルを買ったんだ!テナントに貸して家賃収入をガッポリだ🐕 |
| 経理 | それは会計上、賃貸等不動産に該当しますね。 |
| 社長 | ん? 普通の建物と何が違うんだ? |
| 経理 | 賃貸収益やキャピタル・ゲイン(値上がり益)を目的として保有する不動産のことを賃貸等不動産といいます。 |
| 社長 | なるほど!つまり投資目的の不動産ってことか! |
| 経理 | そのとおりです。 |
| 投資家 | ただし、営業で使っている建物は含まれない。 |
| 社長 | え?うちの本社ビルは? |
| 経理 | 本社ビルは経営管理のための不動産なので賃貸等不動産には該当しません。 |
| 投資家 | それと、不動産会社が販売目的で持つ土地も違う。棚卸資産だからな。 |
| 社長 | 同じ土地でも目的によって扱いが違うのか💦 |
| 経理 | まとめるとこうです。 |
賃貸等不動産の整理
| 区分 | 該当 |
|---|---|
| テナントに貸しているビル | 〇 |
| 投資目的で保有する土地 | 〇 |
| 遊休不動産 | 〇 |
| 本社ビル | × |
| 工場 | × |
| 不動産会社の販売用土地 | ×(棚卸資産) |
| 社長 | なるほど!投資目的の不動産だけが対象なんだな🐾 |
| 投資家 | そういうことだ。財務諸表を見る側としては、その不動産がどんな目的で持たれているのかが重要になる。 |
賃貸等不動産の範囲
賃貸等不動産には、次の不動産が含まれる。
(1) 貸借対照表において
投資不動産
( 投資の目的 で所有する土地、建物その他の不動産)として区分されている不動産
(2) 将来の使用が見込まれていない
遊休不動産
(3) 上記以外で
賃貸
されている不動産
第2話 なぜ時価を開示するのか ~原価評価なのに時価?~
| 社長 | ところで白柴くん、このビルの値段、最近かなり上がってるんだよ! |
| 経理 | そうですね。ただし会計上、建物や土地は基本的に取得原価でB/Sに計上されます。 |
| 社長 | そうか、固定資産は原則、「取得原価」だったもんな。 |
| 経理 | ただし、B/Sには反映されませんが、時価を注記で開示します。 |
| 社長 | えっ!? 固定資産でも時価で計上するのか!? |
| 投資家 | 理由は簡単。投資家にとって時価が重要な情報だから。 |
| 経理 | 投資不動産は、時価=保有価値と考えられることが多いです。 |
| 社長 | たしかに、売ったらいくらになるかが重要だよな。 |
| 投資家 | 遊休不動産も同じだ。将来のキャッシュフローは売却価値が中心になる。 |
| 経理 | そこで、次のような形で情報を開示します。 |
賃貸等不動産の開示
| 情報 | 表示場所 |
|---|---|
| 取得原価 | 貸借対照表(B/S) |
| 時価 | 注記 |
| 経理 | こうすることで、投資家は含み益や含み損を判断できます。 |
| 社長 | 含み益ってことは… |
| 経理 | 含み益=時価 − 取得原価です。 |
| 社長 | なるほど!じゃあ最初から時価評価すればいいんじゃないか? |
| 投資家 | そこが難しいところだ。不動産は時価が簡単に分からない。 |
| 経理 | 同じ土地でも条件が違うので、客観的な市場価格がない場合が多いんです。 |
| 投資家 | さらに、日本基準は長期保有資産の時価評価には慎重。 |
| 社長 | つまり… |
| 経理 | B/Sは原価、投資判断のために時価は注記で開示というバランスなんです🐕 |
| 社長 | 会計ってほんと慎重だなぁ💦 |
| 投資家 | 慎重でいい。財務諸表は企業価値を冷静に判断するための道具だからな。 |
条文穴埋問題
賃貸等不動産に関する注記事項
8. 賃貸等不動産を保有している場合は、次の事項を注記する。ただし、賃貸等不動産の総額に重要性が乏しい場合は注記を省略することができる。また、管理状況等に応じて、用途別、地域別等に区分して開示することができる。
(1) 賃貸等不動産の概要
(2) 賃貸等不動産の
貸借対照表計上額
及び期中における主な変動
(3) 賃貸等不動産の当期末における
時価
及びその算定方法
(4) 賃貸等不動産に関する
損益
(略)
理論記述問題
Q.賃貸等不動産は、時価を開示することが求められているのはなぜか?
A.賃貸等不動産は、売却による回収額を意味する時価以上のキャッシュ・フローは見込めないと考えられるため、これを保有する企業にとっては時価が重要な情報となり、また、投資家にとってもその時価が有用な情報となるから。
Q.賃貸等不動産は、時価評価をして評価差額を損益とする処理が行われないのはなぜか?(理由2つ)
A. ➀投資不動産の時価評価については、活発な市場を有する一部の金融資産に比べ時価を客観的に把握することは困難であるから、②賃貸収益を目的として保有されるような不動産であっても、直ちに売買・換金を行うことに事業遂行上の制約がある場合等、事実上、事業投資と考えられるものについては、時価の変動を企業活動の成果とは捉えないという考え方が妥当であるから。

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