第1話 金融資産及び金融負債の範囲
| 社長 | 白柴くん、「金融資産」ってよく聞くけど、現金💰のこと? |
| 経理 | 一部はそうですが、もっと広いんです。「将来お金を受け取る権利」をもつもの全般をさします。 |
| 社長 | 権利って、どんなもの? |
| 経理 | 現金預金、受取手形、売掛金、貸付金などの金銭債権、それに株式や社債などの有価証券も含まれます。 |
| 投資家 | さらに、先物やスワップ取引などのデリバティブから生じる正味の債権も金融資産に入るんだな。 |
| 社長 | なるほど🐾じゃあ「金融負債」はその反対か? |
| 経理 | そのとおりです。支払手形、買掛金、借入金などの「将来お金を払う義務」をもつものです。 |
| 投資家 | 要するに、「キャッシュを受け取るか、支払うか」で資産と負債を分けているわけだな。 |
| 社長 | ふむふむ。ところで白柴くん、よく「金融資産を時価で評価」って聞くけど、“時価”ってどう決めるんだ? |
| 経理 | 「時価」は、市場参加者どうしが秩序ある取引をすると仮定したときの価格です。実際に売らなくても、「今売ったらいくらになるか」を想定するんですよ。 |
| 投資家 | 上場株式なら株価の終値が時価になるな。これは「売却して受け取る価格」のことだ。 |
| 社長 | じゃあ負債の場合は? |
| 経理 | 「他の人に引き継いでもらうために支払う価格」、つまり移転のための金額です。 |
| 投資家 | 要するに、買い手も売り手も納得する“フェアバリュー”をもとにするってことさ。 |
| 社長 | なるほど!うちの都合じゃなくて、市場が認める“公正な値段”で見るんだな。 |
| 経理 | そのとおりです。会計は“お金の流れ”を、公正に映すことが目的なんですよ。 |
| 社長 | 数字の裏に市場の空気まで映る…会計って奥が深いな~🐾 |
条文穴埋問題
Ⅱ.金融資産及び金融負債の範囲等
1.金融資産及び金融負債の範囲
4. 金融資産とは、 現金預金 、 受取手形、売掛金及び貸付金等の 金銭債権 、 株式その他の出資証券及び公社債等の 有価証券 並びに先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引及びこれらに類似する取引(以下「 デリバティブ取引 」という。)により生じる により生じる正味の債権等 をいう。
5. 金融負債とは、支払手形、買掛金、借入金及び社債等の 金銭債務 並びに デリバティブ取引により生じる正味の債務等 をいう。
第2話 金融資産及び金融負債の発生及び消滅の認識
金融資産及び金融負債の発生の認識 ~契約した瞬間にもう「ある」!?~
| 社長 | 白柴くん、うちの会社、ついにパグ社に1億円貸す契約を結んだぞ!後は、お金を渡せば貸付金ゲットで利息ウハウハだぜ!! |
| 経理 | 社長、まだお金は渡していませんが、契約を結んだ瞬間に“貸付金”は発生していますよ! |
| 社長 | えっ?お金も動いてないのに?幻の資産じゃないのか?👀 |
| 経理 | するどいです社長。金融資産って、「お金を受け取る契約上の権利」を持つだけでOKなんですよ。だから、契約を締結したときで、その発生を認識するんです。 |
| 社長 | なるほど!じゃあ、借入契約を結んだら“金融負債”も同じように発生するってことか💡 |
| 投資家 | そのとおり。支払う義務が生じた時点で金融負債を認識。つまり“借りる”って決まった瞬間に、もう会計的には負債持ちだ。 |
| 社長 | そんな…契約書にハンコ押しただけで借金持ち!?😱 |
| 経理 | そうなんです。だって、その瞬間から“時価の変動リスク”や“相手方の信用リスク”が発生しますから。たとえお金が動いていなくても、経済的にはもう影響を受けてるんですよ。 |
| 投資家 | 要するに、金融商品って“契約した時点でリスクを背負う”んだな。 |
| 社長 | なるほどなぁ。金融商品は“契約で動く”、商品取引は“モノで動く”ってことか🐾 |
条文穴埋問題
Ⅲ.金融資産及び金融負債の発生及び消滅の認識
1.金融資産及び金融負債の発生の認識
7. 金融資産の契約上の 権利 又は金融負債の契約上の 義務 を生じさせる 契約を締結 したときは、原則として、当該金融資産又は金融負債の 発生 を認識しなければならない。
理論穴埋問題
Q.金融商品の発生を契約時から認識するのはなぜか?
A.金融商品に係る取引は、当該取引の契約時から当該金融資産又は金融負債の時価の変動リスクや契約の相手方の財政状態等に基づく信用リスクが契約当事者に生じるから。
金融資産及び金融負債の消滅の認識 ~売ったのに「まだ」ある?~
| 社長 | 白柴くん!パグ社への貸付金を銀行にまるごと売ったぞ!これで資産は消滅だな? |
| 経理 | えっ、急ですね💦 でも貸付金の消滅はそんなに単純じゃないんです。“金融資産が消滅した”といえるのは、その権利に対する支配を失ったときなんですよ。 |
| 投資家 | 支配?もう権利を譲ったから終わりじゃないのか? |
| 経理 | 昔は、リスクと経済価値のほとんどすべてが他に移転した場合に消滅を認識する“リスク・経済価値アプローチ”を使ってました。でも今は違います。現在の基準は“財務構成要素アプローチ”です。 |
| 社長 | なんかカタい名前だな…。それって何が違うんだ? |
| 経理 | 財務構成要素アプローチでは、金融資産を“構成要素”に分けて考えます。譲渡した部分だけを消滅させ、まだ支配が留保されている部分は引き続き認識するんです。 |
| 投資家 | つまり、完全に売り切ったなら全部消滅。でも、リスクの一部を抱えてるなら、その分はまだ残すわけか。 |
| 経理 | そのとおりです!なので、“売ったのにまだ資産の一部が残る”というケースがありえるんです。会計では「支配」という視点で、金融資産の行方を追うんです。 |
| 社長 | ふむ…。会計って、モノの実物の動きより“コントロール”を見てるんだな。まるで会社の影を追ってるみたいだ。 |
| 投資家 | 影でも残ってたら“消滅”とは言えない、ってことか。深いな…。 |
Q.金融資産の譲渡に係る支配の移転について、「リスク・経済価値アプローチ」とはどのような方法の考えか?
A.金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてが他に移転した場合に当該金融資産の消滅を認識する方法をいう。
Q.金融資産の譲渡に係る支配の移転について、「財務構成要素アプローチ」とはどのようなもの方法の考えか?
A.金融資産の譲渡に係る支配の移転について、金融資産を構成する財務的要素(以下「財務構成要素」)に対する支配が他に移転した場合に当該移転した財務構成要素の消滅を認識し、留保される財務構成要素の存続を認識する方法をいう。
第3話 金融資産及び金融負債の貸借対照表価額等
債権の評価と償却原価法 ~「実質の利息」まで読み取れ!~
| 社長 | 白柴くん、うちの貸付金って、貸借対照表にはいくらで載せるんだ?額面そのままか? |
| 経理 | 基本は取得価額から貸倒引当金を引いた金額です。つまり「実際に回収できそうな額」で表示します。 |
| 社長 | なるほど、貸倒れを見込んで控除するわけか。でもさ、もし債権を額面より安く買ったらどうするんだ?💦 |
| 経理 | いいところに気づきましたね。その差が“金利の調整”と考えられる場合には、償却原価法を使うんです。 |
| 社長 | 償却原価法?また難しい言葉が出てきたな🐾 |
| 経理 | かんたんに言いますと、額面との差額を満期まで少しずつ埋めていく方法です。たとえば100万円の債権を95万円で買ったら、その5万円を時間の経過とともに利息収益として認識していきます。 |
| 投資家 | つまり、額面との差は“見えない金利”なんだ。実際の利息と合わせてトータルで金利を調整しているわけだな。 |
| 社長 | なるほどな!差額はただの値引きじゃなく、実質は利息の一部なんだな。 |
| 経理 | そのとおりです。会計は「いつ」「どれだけの利息効果があるか」まできっちり反映させるんです。 |
| 投資家 | こうして、貸借対照表は実質的な金利を反映した債権の価額になる。単なる数字の羅列じゃないんだよ。 |
| 社長 | うーん…会計って、数字の奥に“時間の流れ”まで見てるんだな~⏳ |
有価証券の分類と評価 ~保有目的で評価が違う!~
| 社長 | うちの持ち株、時価が上がりまくってるぞ!全部、時価評価して利益計上だ!景気がいい! |
| 経理 | ちょっと待ってください社長!有価証券の評価方法は保有目的に応じて4つに分類されています! |
| 社長 | えっそうなの!? |
| 経理 | まず1つ目の「売買目的有価証券」は時価で評価します。これは、時価の変動で利益を得ることを目的として保有しているので、投資家にとっての有用な情報は「期末時点での時価」だからですね。今いくらで売れるかが、投資家にとっては重要ということです。 |
| 社長 | なるほど!儲けが目的なら、いまの値段=価値ってわけか。 |
| 経理 | はい。しかも売買目的の株は、売却することに事業遂行上の制約がないので、時価の変動による評価差額が会社の“財務活動の成果”になるんです。 |
| 投資家 | だから、その評価差額は当期の損益に計上するんだな。つまり「評価益=成果たる収益」というわけだ。 |
| 社長 | よし、じゃあウチの子会社株式も時価評価して利益アップだ! |
| 経理 | ストップです社長!子会社株式の取得は事業投資なんですよ。売却して儲けるのが目的じゃなく、経営への参加を目的に保有しています。つまり、時価の変動を財務活動の成果とは考えないんです。だから、子会社株式は取得原価のままにしておくんです。 |
| 投資家 | うむ。事業投資ってことは、時価の上下で会社の実力が変わるわけじゃないってことだな。 |
| 社長 | たしかに、うちが子会社を支配してる目的は“株の値上がり”じゃないもんな。 |
| 投資家 | 満期保有目的の債券も、確か原則は取得原価だったよな。 |
| 経理 | そのとおりです! 満期保有目的の債券は、満期までの約定利息と元本の回収を目的としているので、途中の金利変動による価格変動リスクを考慮する必要がないから取得原価のままなんですね! |
Q.売買目的有価証券を時価で評価するのはなぜか?
A.売買目的有価証券については、投資者にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められるから。
Q.売買目的有価証券の評価差額を当期の損益とするのはなぜか?
A.売買目的有価証券は、売却することについて事業遂行上等の制約がなく、時価の変動にあたる評価差額が企業にとっての財務活動の成果と考えられるから。
Q.満期保有目的の債券を時価評価しないのはなぜか?
A.満期保有目的の債券については、時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており、満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないから。
Q.子会社株式を時価評価しないのはなぜか?
A.子会社株式については、事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えないという考え方に基づくから。
その他有価証券の評価差額 ~評価損益は「純資産の部」に直行!?~
| 社長 | じゃあ、それら以外の有価証券はどうするんだ?売買目的でも子会社株でもない中途半端なやつ! |
| 経理 | それが、最後の4つ目「その他有価証券」です。これは原則、時価で評価します。 |
| 社長 | 売買目的じゃないのに、売買目的有価証券と同じ扱いか? |
| 経理 | たしかに、その他有価証券は性格がさまざまで、一義的にその属性を決めるのは難しいんです。でも、金融資産の評価の基本に立てば、“時価による自由な換金や決済が可能”なものについては、投資情報としても、企業の財務認識としても時価評価するのが妥当なんですよ。 |
| 社長 | なるほど、投資家にも会社にもリアルな価値を見せるための時価評価ってわけか。じゃあ、評価益は利益か! |
| 経理 | いいえ、そう簡単にはいきません。その他有価証券の時価はたしかに投資家にとって有用な情報ですが、会社としては事業遂行などの関係で、すぐに売買や換金を行えるわけではないんです。そうした制約もあるので、評価差額をすぐに当期の損益に入れるのは適切ではないと考えられてるんです。 |
| 投資家 | なるほど、すぐ売れるわけじゃないから、“今期の利益”じゃなくて“将来の資本の変動”として扱うんだな。 |
| 経理 | そのとおりです。だから評価差額は「純資産の部」に計上します。これを「全部純資産直入法」と言うんです。 |
| 社長 | 損益じゃなくて純資産に直行か!なんか“利益の待機所”みたいだな。 |
| 経理 | うまいこと言いますね社長!ただし、この方法を使うと税効果会計の処理が必要になるのがちょっと面倒なんです。 |
| 社長 | なるほどな~。そういや、うちが持ってる“未上場の株”もあるけど、あれも時価で評価するのか? |
| 経理 | それは「市場価格のない株式等」といって、時価がわからないものです。市場で取引されていない株式や出資金などがこれにあたります。 |
| 社長 | じゃあ、そういうのはどうするんだ? |
| 経理 | 原則として取得原価のままにします。 |
| 社長 | まっそうだよな。値段がついてない株を、勝手に評価するわけにはいかないもんな。なっとく! |
Q.その他有価証券の評価差額を当期の損益としないのはなぜか?
A.その他有価証券については、事業遂行上等の必要性から直ちに売買・換金を行うことには制約を伴う要素もあり、評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではないから。
Q.その他有価証券を一律に時価評価するのはなぜか?
A.その他有価証券は、多様な性格を有しており、一義的にその属性を定めることは難しい。そこで、金融資産の評価の基本に立てば、時価による自由な換金・決済等が可能な金融資産については、投資情報としても、企業の財務認識としても、時価評価するべきであるから。
時価が著しく下落した場合 ~「戻さない」評価損の考え方~
| 社長 | 白柴くん、うちが持ってる株、最近すごく値下がりしてるんだよな…。回復しそうにないくらい下がっちゃったら、帳簿の金額も下げなきゃいけないんだろ? |
| 経理 | はい。時価が著しく下落し、そのまま回復する見込みがないと判断した場合は、その時価まで切り下げて、差額を当期の損失として計上します。 |
| 投資家 | うむ。「もうダメだ」と見切った時点で、潔く損を確定させるわけだな。 |
| 経理 | そうです。ただし、回復する見込みがあるときは、まだ減損処理はしません。でも、回復する見込みが不明なときも、原則として減損処理が必要になります。 |
| 社長 | うわ…“不明”でもアウトなのか😢 じゃあ、「そのうち戻るかも」なんて甘い期待で放置しちゃダメなんだな。 |
| 投資家 | 市場は待ってくれんからな。判断を先送りすると、あとで痛い目を見る。 |
| 社長 | でも、あとで運よく株価が戻ってきたら、また評価額を元に戻してもいいのか? |
| 経理 | それができないんです。一度評価損を計上したら、その切り下げた価額を翌期からの新しい取得原価とするルールになっています。 |
| 投資家 | つまり、会計でいうところの「洗い替え」はしないんだな。 |
| 社長 | 市場価格がない株式はどうなんだ?非上場株とかさ。時価がないと損の判断が難しいだろ。 |
| 経理 | その場合は、発行会社の財政状態の悪化を見て判断します。実質的な価値が大きく下がっていれば、相当の減額をしなければなりません。これも当期損失です。 |
| 投資家 | どちらのケースでも、損失は正直に出さないといけないし、一度下げた評価は二度と戻せない、と。 |
| 経理 | そのとおりです。損失を厳しく見積もることで、一時的な相場変動で損益が乱高下するのを防ぎ、財務諸表の信頼性を高めるためなんです。 |
| 社長 | 一度下げたら戻せない…厳しいけれど、そのほうが慎重でフェアだな。損を正直に出すのも、会社の重要な仕事だ。 |
第4話 貸倒見積高の算定
債権の区分 ~同じ“売掛金”でも、危なさがちがう!?~
| 社長 | 白柴くん、うちの売掛金の中に、ちょっと心配な取引先があるんだよなぁ…。このまま回収できなかったらどうしよう💦 |
| 経理 | その場合は「貸倒引当金」を見積もっておく必要があります。金融商品会計基準では、債務者の状態に応じて3つの区分があるんですよ。 |
| 社長 | 3つ?そんなに種類あるの? |
| 経理 | はい。「一般債権」「貸倒懸念債権」「破産更生債権等」です。普通の取引先は「一般債権」ですが、経営に問題が出てきた取引先は「貸倒懸念債権」、もう破産などしている場合は「破産更生債権等」と区分します。 |
| 投資家 | 区分によって見積り方法も変わるんだ。普通の取引先は統計的に、危ないところは個別に見積もるんだな。 |
| 社長 | なるほど、リスクの度合いで“見積りの厳しさ”が変わるのか。合理的だね🐾 |
一般債権 ~「過去の実績」で未来を読む~
| 社長 | じゃあ、「一般債権」っていうのはどうやって貸倒を見積もるの? |
| 経理 | 過去の貸倒実績率など、合理的な基準を使って計算します。たとえば、過去3年の平均貸倒率を使うことが多いですね。 |
| 社長 | つまり「このくらいの割合で貸し倒れてきたから、今年もそれくらいは覚悟しとこう」って感じか。 |
| 投資家 | そのとおり。たくさんの債権をグループ化して、統計的に見積もるんだ。個別判断がいらないから効率的でもあるな。 |
| 経理 | ただし、経営が不安定な取引先が出てきたら、「一般債権」から「貸倒懸念債権」に区分し直す必要があります。 |
| 社長 | 債権も“健康診断”みたいなもんだな。調子悪くなったら診断区分を変えるってことか💦 |
貸倒懸念債権 ~個別に「どれだけ回収できるか」を読む~
| 社長 | じゃあ「貸倒懸念債権」って、どうやって見積もるの? |
| 経理 | 方法は2つあります。1つ目は「担保や保証を引いた残額」で見積もる方法。2つ目は「将来のキャッシュ・フローを割り引く方法」です。 |
| 社長 | 割り引く?まさかセールじゃないよな😅 |
| 経理 | 違います(笑)。債権の元本や利息の回収見込を見積もって、それを「当初の約定利子率」で現在価値に割り引くんです。 |
| 投資家 | ポイントは「当初の利子率」を使うこと。改定後の利率を使うと“時価評価”になってしまうからね。あくまで取得時点の見積もりとの差額を求めるのが目的なんだ。 |
| 社長 | なるほど。つまり「最初に思ってたほど返ってこない分」を貸倒見積高として計上するってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。同じ債権では、状況が変わらない限り同じ方法を続けて使います。 |
| 社長 | ちゃんと一貫して処理するのが信頼される会計の基本だな🐾 |
破産更生債権等 ~「もう回収不能」な場合~
| 社長 | 最後の「破産更生債権等」っていうのは、もう会社が倒産したようなケースか。 |
| 経理 | はい。破産や更生手続に入っている場合などですね。この場合は、担保や保証で回収できる分を差し引いた残額を、まるごと貸倒見積高とします。 |
| 投資家 | つまり、実質的に「回収不能」と判断された部分を損失見込として処理する。現実的な対応だな。 |
| 社長 | なるほど。一般債権→懸念債権→破産債権って、だんだん回収可能性が低くなるわけか。 |
| 経理 | そのとおりです。だからこそ、早めに区分して、正確な見積りを立てることが大事なんです。 |
| 社長 | うむ…取引先の経営状態も、ちゃんと“会計の目”で見ておかないとな🐾 |
条文穴埋問題
1.債権の区分
27.貸倒見積高の算定にあたっては、債務者の 財政状態 及び 経営成績 等に応じて、債権を次のように区分する。
(1) 債務者の 経営状態 に重大な問題が生じていない債務者に対する債権(以下「 一般債権 」という。)
(2) 経営破綻 の状態には至っていないが、 債務の弁済 に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権(以下「 貸倒懸念債権 」という。)
(3) 経営破綻 又は実質的に 経営破綻 に陥っている債務者に対する債権(以下「 破産更生債権等 」という。)
2.貸倒見積高の算定方法
28.債権の貸倒見積高は、その区分に応じてそれぞれ次の方法により算定する。
(1) 一般債権については、 債権全体 又は 同種・同類の債権 ごとに、 債権の状況 に応じて求めた 過去の貸倒実績率 等合理的な基準により貸倒見積高を算定する。
(2) 貸倒懸念債権については、 債権の状況 に応じて、次の いずれかの方法 により貸倒見積高を算定する。ただし、同一の債権については、債務者の 財政状態 及び 経営成績 の状況等が変化しない限り、同一の方法を継続して適用する。
① 担保の処分見込額 及び 保証による回収見込額 を減額し、その残額について債務者の 財政状態 及び 経営成績 を考慮して貸倒見積高を算定する方法
② 債権の 元本 の回収及び 利息 の受取りに係る キャッシュ・フロー を 合理的に見積る ことができる債権については、債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれるときから当期末までの期間にわたり 当初の約定利子率 で割り引いた金額の 総額 と債権の 帳簿価額 との差額を貸倒見積高とする方法
(3) 破産更生債権等については、 債権額 から 担保の処分見込額 及び 保証による回収見込額 を減額し、その残額を貸倒見積高とする。
第5話 ヘッジ会計
ヘッジ取引とは? ~リスクをかわす!~
| 社長 | 白柴くん!最近ニュースで「ヘッジ取引」とか「デリバティブ」ってよく聞くけど、あれって結局なんなんだ?株の裏ワザか?🐾 |
| 経理 | いえいえ、裏ワザではありません💦 ヘッジ取引というのは、相場変動による損失を避けるための取引なんです。 |
| 社長 | つまり…リスクを減らすってこと? |
| 経理 | そのとおりです。たとえば、輸入会社が「円高になると損をする」場合、先に為替予約をしておくことでリスクを回避するんです。 |
| 社長 | なるほど!「保険」みたいなもんだな!🐶 |
| 投資家 | 厳密には、保険ではなくデリバティブ取引によるリスク回避である。先物取引やスワップ取引などが代表的な手段だ。 |
| 経理 | そうなんです。これらの取引で、資産や負債の価格変動・金利変動・為替変動による損失を減らします。 |
| 社長 | へぇ~!デリバティブって、そんな便利な仕組みだったのか!でも、なんか怖そうな名前だな💦 |
| 投資家 | 使い方を誤れば損失も出るが、正しく使えばリスク管理の強力な道具になる。それがヘッジ取引である。 |
| 経理 | だから、会計上もこの「リスク回避の実態」をきちんと反映させるために、「ヘッジ会計」という特別な処理があるんですよ。 |
| 社長 | 特別な会計⁉ 普通の処理じゃダメなの?😮 |
| 経理 | それは次の話でご説明します。ヘッジ会計が必要な理由、けっこう深いんです。 |
| 投資家 | 会計は、実態を映す鏡である。ヘッジの効果を正しく映すには、鏡の角度も工夫が要るのだ。 |
ヘッジ会計の必要性 ~ズレた損益をそろえる!~
| 社長 | 白柴くん、この前言ってた「ヘッジ会計」ってのが気になるんだが…普通の会計処理と何が違うの? |
| 経理 | いい質問です🐾 通常、デリバティブ取引は期末に時価評価して損益を計上します。でもヘッジ対象の資産や負債は、まだ損益に反映されないことが多いんです。 |
| 社長 | え、じゃあ片方だけ損益が出ちゃうってこと?💦 |
| 経理 | そのとおりです。たとえば将来の輸入代金を為替予約でヘッジしていた場合、デリバティブの評価損益だけが先に出てしまい、本来“リスクを相殺している実態”が財務諸表に映らなくなるんです。 |
| 投資家 | つまり、経済的には損益が相殺されているのに、会計上はズレて見えるという問題だな。 |
| 社長 | なるほど…それはたしかに変だな😅 じゃあ、それを調整するのがヘッジ会計ってわけか? |
| 経理 | そのとおりです。ヘッジ会計を使えば、ヘッジ手段の損益をいったん純資産に繰り延べて、ヘッジ対象の損益が出るときに合わせて認識できます。 |
| 投資家 | これを**「繰延ヘッジ」**という。両者の損益を同じ期間に認識させる仕組みである。 |
| 社長 | なるほど!損益の“タイミング調整”ってことか!🐶 |
| 経理 | そうです。そして、もう一つの方法が「時価ヘッジ」です。これは、ヘッジ対象の資産や負債も時価評価して、ヘッジ手段と同じ期間に損益を出す方法です。 |
| 社長 | へぇ~!つまり、どちらも“ズレをなくす”ための工夫なんだな。 |
| 投資家 | まさにそのとおりである。ヘッジ会計とは、ヘッジ効果を正しく財務諸表に映すための特殊な処理なのだ。 |
| 経理 | ですので、要件を満たしたヘッジ取引だけが、この特別な会計処理を使えます。すべてのデリバティブに認められるわけではないんですよ。 |
| 社長 | なるほど、ちゃんと“正しいヘッジ”じゃないと会計でも認めてもらえないってことか。けっこう厳しいんだな💦 |
| 投資家 | ヘッジとは、単なる賭けではなく、計画的なリスク管理であることが前提だ。そこにこそ会計の信頼性がある。 |
| 経理 | だからこそ、ヘッジ会計の目的は“実態の正しい反映”なんです。数字の表面だけではなく、経済的な関係を見て判断するんですよ。 |
| 社長 | なるほど~!会計って、数字の奥までちゃんと見てるんだな🐾 ちょっと感動した! |
| 投資家 | 数字の裏にある実態を映す、それがヘッジ会計の真髄である。 |
ヘッジ会計の方法 ~2つの道、繰延ヘッジと時価ヘッジ~
| 社長 | 白柴くん、この前の話で出てきた「繰延ヘッジ」と「時価ヘッジ」って、もう少し詳しく教えてくれない? |
| 経理 | はい!🐾 まず「繰延ヘッジ」は、ヘッジ手段の損益をいったん純資産に繰り延べておき、ヘッジ対象の損益が出るタイミングで損益に振り替える方法です。 |
| 社長 | つまり、「今は保留、あとでまとめて」って感じだな!💦 |
| 経理 | そうですね。たとえば、将来の輸入支払いを為替予約でヘッジしている場合、期末にデリバティブの評価損益が出ても、まだ支払いが行われていないので、いったん純資産に繰り延べておくんです。 |
| 投資家 | それに対し、「時価ヘッジ」は、ヘッジ対象の資産や負債も時価評価して、両者の損益を同じ期間に認識する方法である。 |
| 社長 | ほうほう、どっちも“ズレをなくす”ための手段だけど、アプローチが違うんだな。 |
| 経理 | そのとおりです。繰延ヘッジは「ヘッジ手段の損益を待たせる」、時価ヘッジは「ヘッジ対象の損益を早める」イメージです。 |
| 社長 | おお~なるほど!バランスの取り方が違うわけか。 |
| 投資家 | なお、ヘッジ対象が消滅した場合、繰延されていたヘッジ手段の損益は当期の損益に振り替えられる。ヘッジ会計の終了処理である。 |
| 経理 | そうです。繰延ヘッジは、あくまで“あとで一緒に認識する”ための一時的な待機ですからね。 |
| 社長 | ふむふむ、ヘッジ会計って、単なるテクニックじゃなくて、“経済的な実態”をちゃんと合わせるための会計処理なんだな🐾 |
| 投資家 | まさにそのとおりである。数字の正確さだけでなく、経済的な意味の整合性を取ることが、ヘッジ会計の目的なのだ。 |
| 経理 | ヘッジ取引って聞くと難しそうですが、要は「リスクを避けて、会計上もその努力を正しく見せる」ことなんです。 |
| 社長 | よ~し!これでうちの為替リスクも怖くないぞ!💪🐶 |
| 投資家 | 慎重さを忘れるな。ヘッジの本質は、守りである。攻めではないぞ。 |
| 社長 | うっ…たしかに😅 勉強になります、黒芝先生! |
注記
重要な会計方針に関する注記
資産の評価基準及び評価方法
(1) 有価証券の評価基準及び評価方法
・満期保有目的の債券…償却原価法(利息法)
・子会社株式及び関連会社株式…総平均法による原価法
・その他有価証券
① 市場価格のあるもの…時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は総平均法)
② 市場価格のないもの…総平均法による原価法

