目次
第1話 決算時の換算方法 ~最高の理論はテンポラル!~
| 社長 | 白柴くん!この前のドル建てで仕入れた商品、決算ではいくらで記録すればいいんだい? 発生時のレートでいいのかな? |
| 経理 | 取引発生時は、その時点の為替相場で円換算して記録します。ただし、決算時には外貨建の資産や負債を、改めて換算し直す必要があります。 |
| 社長 | ええっ!また換算するの?その方法って、いくつかあるんだっけ? |
| 経理 | はい。代表的な換算方法として、流動・非流動法、貨幣・非貨幣法、決算日レート法、そしてテンポラル法の4つがあります。 |
| 投資家 | この中で、理論的に最も妥当とされているのがテンポラル法だ。 |
| 社長 | テンポラル法? なんだか呪文みたいだな!どういう方法なんだ? |
| 経理 | テンポラル法は、その項目が「いつの価値で測定されているか」に着目して、為替相場を使い分ける方法です。 |
| 投資家 | 過去の価値で測定されているものには過去のレート、現在の価値で測定されているものには現在のレートを使う、という考え方だ。 |
| 経理 | たとえば、取得原価で評価される建物や子会社株式は取得時のレートで、決算時の時価で評価される売買目的有価証券は決算時のレートで換算します。 |
| 社長 | なるほど!測定の時点をそのまま維持するってことか! |
| 投資家 | そう。項目の性質を壊さずに換算できるから、テンポラル法は理論的に筋が通っている。 |
| 社長 | だから「最高の理論」って言われるんだね!よく分かったよ! |
| 経理 | その理解で大丈夫です!✨ |
Q.テンポラル法が、理論上最も合理的な外貨換算方法とされているのはなぜか?
A.テンポラル法は、外貨で測定されている項目の属性を変更しないよう、測定時点と同一時点の為替相場により換算を行う。これにより、換算後も元の財務諸表の属性を維持した換算が可能となるためである。
第2話 一取引基準と二取引基準 ~為替差額をどう見るか?~
| 社長 | 換算の話は分かったけど、実際にドルで支払ったときに出る為替差額は、どう処理すればいいんだい?💦 |
| 経理 | それが為替決済損益です。取引発生時のレートと、決済時のレートの差によって生じます。 |
| 社長 | その処理の考え方が、2つあるんだよね?🤔 |
| 経理 | はい。一取引基準と二取引基準の2つです。日本の外貨建取引等会計処理基準が採用しているのは、二取引基準です。 |
| 投資家 | 二取引基準では、外貨建取引そのものと、その後の金銭の決済を、別々の独立した取引として考える。 |
| 社長 | ということは、仕入の金額はいつ確定するんだい? |
| 経理 | 取引発生時点で確定します。決済時に生じた差額だけを、為替差損益として処理します。 |
| 投資家 | 一方、一取引基準では、発生から決済までを一つの取引とみなすため、仕入金額が決済まで確定しない。 |
| 社長 | それは…決算が途中に来たら、かなり面倒そうだね。 |
| 経理 | そのとおりです。実務では処理が煩雑になるため、日本では二取引基準が採用されています。 |
| 投資家 | 換算の理論はテンポラル法、決済差額の考え方は二取引基準。この組み合わせが、現在の外貨会計の基本だ。 |
| 社長 | なるほど!換算と決済を分けて考えるのがポイントなんだな! |
| 経理 | そこを押さえれば、外貨建取引は一気に整理できますよ。🐾 |
Q.一取引基準及び二取引基準とは、どのような基準か?
A.一取引基準とは、外貨建取引とその取引に係る代金決済取引とを連続した1つの取引とみなして会計処理を行う基準であり、二取引基準とは、外貨建取引とその取引に係る代金決済取引とを独立した別個の取引とみなして会計処理を行う基準をいう。
Q.外貨建取引の処理基準として、二取引基準が採用されているのはなぜか?(理由2つ)
A.① 為替差損益は経営者の為替リスク管理の成果を反映するものであり、売買損益とは性質の異なる財務損益として処理するのが妥当であるため。 ② 一取引基準では、決済日まで取得原価が確定せず、決算日を跨ぐ際の手続きが煩雑になるなど、実務上の弊害が大きいため。
第3話 外貨建取引の表示と注記 ~計算のあとは「見せ方」が決算を決める~
| 社長 | 換算方法や為替差額は分かったけど、決算書にはどう表示するんだ?🤔 やはり、明瞭表示のために、総額で為替差益と為替差損をそれぞれ計上するのか? |
| 経理 | いいえ。どちらも為替相場の変動によるもので、会社の意思とは無関係なので、原則として純額で表示します。 |
| 投資家 | 売買目的有価証券の評価損益と同じ考え方だ。 |
| 社長 | じゃあ、貸借対照表の外貨建有価証券は? |
| 経理 | 売買目的有価証券、満期保有目的の債券、その他有価証券はいずれも決算時にCR換算します。 |
| 社長 | 関係会社株式も同じ? |
| 経理 | そこは例外で、原則はHR換算のままです。ただし、減損処理を行う場合はCR換算になります。 |
| 投資家 | 原則と例外の使い分けがポイントだね。 |
| 社長 | その他有価証券が非上場株式の場合は? |
| 経理 | 市場価格がないため、外貨取得原価に決算日レートを掛けて評価し、差額は全部純資産直入法なら評価差額金として処理します。 |
| 社長 | 損益じゃなくて、純資産に出るんだね。 |
| 社長 | 為替予約の直先差額はどう表示するの? |
| 経理 | 長期前払費用や長期前受収益として、通常はまとめて固定区分に表示します。 |
| 投資家 | そして注記では、採用している換算基準を会計方針として明示する。 |
| 社長 | なるほど!表示と注記まで含めて、外貨換算会計なんだな! |
| 経理 | その理解で大丈夫です。🐾 |
為替差損益の表示方法
| 勘定科目 | 表示科目 | 表示区分 |
|---|---|---|
| 為替差損益 | 為替差益 | 営業外収益 |
| 為替差損益 | 為替差損 | 営業外費用 |
表示と注記のまとめ
| 保有目的 | 表示科目 | 換算レート |
|---|---|---|
| 売買目的有価証券 | 有価証券 | CR |
| 満期保有目的の債券 | 投資有価証券or 有価証券 | CR |
| その他有価証券 | 株式:投資有価証券 | CR |
| 債券:投資有価証券or 有価証券 | CR | |
| 子会社株式・関連会社株式 | 関係会社株式 | HR |
重要な会計方針に係る事項に関する注記
外貨建資産及び負債の本邦通貨への換算基準
外貨建金銭債権債務は、期末日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理している。

