第1話 固定資産の減損とは ~投資回収できない資産は過大評価!?~
| 社長 | 白柴くん、この前の新工場、全然稼働率が上がらないんだよな~💦。このままだと投資した分を回収できないよ。 |
| 経理 | 社長、それはまさに「固定資産の減損」という状態に近づいていますね。 |
| 社長 | げんそん?なんだか難しそうな名前だな。 |
| 経理 | 簡単にいえば、資産の収益性が低下して、投資額の回収が見込めなくなった状態をいいます。 |
| 投資家 | 収益を生み出す力が落ちたのに、帳簿上の金額がそのままなのは、資産を過大に評価していることになる。 |
| 経理 | そのとおりです!なので、資産の回収可能性を反映させるため、帳簿価額を減額するんですね。これを「減損処理」といいます。 |
| 社長 | えー、せっかく建てた工場の価値を下げるのか😢 |
| 経理 | はい。減損処理の目的は、資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないようにすることにあります。今のうちに現実を反映させることが大事です。 |
| 社長 | なるほど、「現実から目をそらすな!」ってことか。いけいけ経営者としては耳が痛いが、これも必要なことなんだな! |
条文穴埋問題
一 対象資産
本基準は、 固定資産 を対象に適用する。ただし、他の基準に 減損処理 に関する定めがある資産、例えば、「金融商品に係る会計基準」における 金融資産 や「税効果会計に係る会計基準」における 繰延税金資産 については、対象資産から除くこととする。意見書
3.固定資産の減損とは、資産の 収益性の低下 により 投資額の回収 が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に、一定の条件の下で 回収可能性 を反映させるように 帳簿価額を減額 する会計処理である。
理論記述問題
Q.固定資産の減損処理の目的は?
A.固定資産の収益性が低下した場合に、事業用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないようにすること。
第2話 減損処理と時価評価 ~「値下げ」と「再査定」は違う!~
減損処理と時価評価の関係
| 社長 | 白柴くん、この「減損処理」ってやつ、よくよく考えると、時価評価と同じことじゃないのか? なんか価値を減らす感じするし🐾 |
| 経理 | そう思いますよね!ただ、似てるようで、異なる処理です!どっちも「取得原価とは違う金額」にする点は同じですが、目的が違うんですよ。 |
| 社長 | ほう、つまり“減損”と“時価評価”は兄弟みたいで性格が違うってことか? |
| 経理 | いい例えです!減損処理は原価配分の途中での臨時修正。つまり「この資産、予定よりもう稼げそうにないな」ってときに、帳簿価額を下げるんです。 |
| 社長 | なるほど、いわば“計画の見直し”ってやつだな。じゃあ時価評価は? |
| 経理 | 時価評価は、今の市場価格に合わせて評価し直す手続です。いわば「いま売ったらいくら?」って視点です。 |
| 社長 | じゃあ、減損処理は“社内事情の見直し”、時価評価は“世間の相場チェック”ってことか。 |
| 投資家 | そうだな。減損は取得原価基準のもとで行われるが、時価評価は価値評価が目的なんだな。 |
| 社長 | つまり減損は「原価主義の世界」での例外的な調整、時価評価は「時価主義の世界」での通常運転ってわけだ! |
Q.固定資産の減損処理と時価評価の相違点は?
A.固定資産の減損処理は、取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額であるのに対し、時価評価は、資産価値の変動によって利益を測定することや、決算日における資産価値を貸借対照表に表示するための手続である。
固定資産を原価評価する理由
| 社長 | でもさ、もし土地とか機械の値段が上がってたら、時価で評価したほうが儲かって見えるじゃん? なんでわざわざ原価のままなんだ? |
| 経理 | いい質問です!固定資産は、株式みたいな金融投資じゃなくて、事業投資なんですよ。 |
| 投資家 | つまり、「持って稼ぐ」タイプの資産ってことだな。 |
| 経理 | そうです。事業投資の目的は「売る」ことではなく、「使ってキャッシュ・フローを得る」ことです。だから、時価が上がっても企業にとっての“価値”はすぐには変わらないんです。 |
| 社長 | うちの機械も、値段が上がっても売る気ないしなあ。働いてもらう方がいい。 |
| 経理 | そのとおりです!固定資産は、市場の平均を超える成果を期待して使われているものです。だから、市場平均で決まる時価が変動しても、それで企業の「投資の価値」が変わるわけじゃないんです。 |
| 投資家 | なるほど…つまり「時価」はみんなに共通の物差しだけど、「投資の価値」は企業ごとの夢や期待で変わる、って感じか。 |
| 経理 | うまい!まさにそうです。しかも、投資の価値はキャッシュ・フローが実際に得られた時点で初めて実現します。 |
| 社長 | じゃあ、「結果が出るまで待て」ってことか…。 |
| 経理 | はい。だから固定資産は、時価が動いても原価で評価するのが原則なんです。投資の成果が出るまでは“夢の途中”ですからね。 |
Q.事業用の固定資産を原価評価するのはなぜか?
A.事業用の固定資産は、通常、市場平均を超える成果を期待して事業に使われているため、市場の平均的な期待で決まる時価が変動しても、企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、また、投資の価値自体も、投資の成果であるキャッシュ・フローが得られるまでは実現したものではないから。
本来的な減損処理
| 社長 | じゃあさ、減損処理って“価値が下がったら即ダメージ処理”みたいな感じ? |
| 経理 | 本来的にはそうです。もともとの考え方では、「投資額の回収が見込めなくなったら、帳簿価額を減らして将来に損失を繰り延べない」っていうのが減損処理です。 |
| 投資家 | つまり、“もう取り戻せない分は今のうちに損にしよう”ってことか。健全だな。 |
| 経理 | ただ、今の会計基準では、期末の帳簿価額を回収可能性に照らして見直すだけなんです。だから、「本当の意味での収益性の低下」を完全に反映しているとは言えない、という批判もあるんですよ。 |
| 社長 | ふむ…理想の減損は「将来を先取りして損を認識」、現実の減損は「期末チェックで減らす」って感じか。 |
| 経理 | まさにそのとおりです。理想はドクターによる早期診断、現実は健康診断の年1回コースです。 |
Q.本来的な減損処理とはどのようなものか?
A.減損処理は、本来、投資期間全体を通じた投資額の回収可能性を評価し、投資額の回収が見込めなくなった時点で、将来に損失を繰り延べないために帳簿価額を減額する会計処理である。
Q.減損会計基準が採用している減損処理はどのようなものか?
A.期末の帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直す処理。
Q.上記処理に対してどのような批判があるか?
A.期末の帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直すだけでは、収益性の低下による減損損失を正しく認識することはできない。
第3話 減損の認識と測定 ~「割引前」と「割引後」の使い分け~
あれから数週間後
| 社長 | おい、白柴くん!最近、うちの「ドッグフード製造ライン」の調子が悪いって聞いたぞ!あのラインから生まれる利益が継続してマイナスになっているじゃないか! |
| 経理 | は、はい、社長!そのとおりでございます(なんか今日は社長機嫌が悪いな…お腹すいてるのかな)。 |
| 社長 | しかも、あの古い製造ライン、市場価格もみるみる下落しているらしいじゃないか…。 |
| 経理 | 社長、これは、「減損の兆候」というものに該当します。継続してマイナスのキャッシュ・フロー、そして市場価格の著しい下落、これらは減損損失の認識を検討すべきサインでございます。 |
| 社長 | なるほど、「減損の兆候」か…。減損と時価評価の違いは、この前の話でよくわかったけど、じゃあ具体的に、いつ、いくらの減損をすればいいんだ? |
| 経理 | はい。減損処理に入るには、まず「減損損失を認識するかどうか」の判定が必要です。 |
| 社長 | 判定基準は何だ? |
| 経理 | 判定は、その資産から将来得られる「割引前将来キャッシュ・フローの総額」と、今の「帳簿価額」を比較して行います。 |
| 投資家 | 割引前のキャッシュ・フローを使うのは、減損の存在が相当程度に確実な場合に限定したいからだ。主観的な測定を避けるための、ひとつのハードルだな。 |
| 経理 | そのとおりです。もし、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回るなら、「減損の可能性が相当程度確実だ」と判断し、次のステップに移ります。 |
| 社長 | 帳簿価額を下回ったら、いよいよ減損処理を始めるってことか。で、いくら減らせばいいんだ? |
| 経理 | 認識すべきと判定されたら、帳簿価額を「回収可能価額」まで減額します。この減少額が「減損損失」として当期の損失になります。 |
| 社長 | 回収可能価額?また新しい用語が出てきたな💦。 |
| 経理 | 「回収可能価額」とは、「正味売却価額」と「使用価値」のいずれか高い方の金額です。 |
| 投資家 | 企業は、資産を「売る」か「使い続ける」か、有利な方を選んで投資を回収するはず。だから、高い方を選ぶのが合理的だ。 |
| 経理 | 使用価値というのは、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いた金額のことですよ。ここで初めて「割引」が登場します。 |
| 社長 | なるほど!判定のときは(割引前)で安全をみて、実際に損失額を決めるときは(割引後)で現実の価値を出すわけか! |
条文穴埋問題
二 減損損失の認識と測定
1. 減損の兆候
資産又は資産グループ(6.(1)における最小の単位をいう。)に減損が生じている可能性を示す事象(以下「 減損の兆候 」という。)がある場合には、当該資産又は資産グループについて、 減損損失 を認識するかどうかの判定を行う。減損の兆候としては、例えば、次の事象が考えられる。① 資産又は資産グループが使用されている 営業活動 から生ずる 損益 又は キャッシュ・フロー が、継続して マイナス となっているか、あるいは、継続して マイナス となる見込みであること
② 資産又は資産グループが使用されている 範囲 又は 方法 について、当該資産又は資産グループの 回収可能価額 を著しく 低下 させる 変化 が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること
③ 資産又は資産グループが使用されている 事業 に関連して、 経営環境 が著しく 悪化 したか、あるいは、 悪化 する見込みであること
④ 資産又は資産グループの 市場価格 が著しく 下落 したこと
2.減損損失の認識
⑴ 減損の兆候 がある資産又は資産グループについての減損損失を 認識 するかかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる 割引前将来キャッシュ・フローの総額 と 帳簿価額 を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる 割引前将来キャッシュ・フローの総額 が 帳簿価額 を 下回る 場合には、 減損損失 を認識する。
⑵ 減損損失 を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローを見積る期間は、資産の 経済的残存使用年数 又は資産グループ中の主要な資産の 経済的残存使用年数 と 20年 のいずれか 短い方 とする。
3.減損損失の測定
減損損失 を認識すべきであると判定された 資産又は資産グループ については、帳簿価額を 回収可能価額 まで減額し、当該減少額を 減損損失 として 当期の損失 とする。
(注1)
本基準における用語の定義は、次のとおりである。1.回収可能価額とは、資産又は資産グループの 正味売却価額 と 使用価値 のいずれか 高い方 の金額をいう。
2.正味売却価額とは、資産又は資産グループの 時価 から 処分費用見込額 を控除して算定される金額をいう。
3.時価とは、 公正な評価額 をいう。通常、それは観察可能な 市場価格 をいい、市場価格が観察できない場合には 合理的に算定された価額 をいう。
4.使用価値とは、資産又は資産グループの 継続的使用 と 使用後の処分 によって生ずると見込まれる 将来キャッシュ・フローの現在価値 をいう。
5.共用資産とは、複数の資産又は資産グループの 将来キャッシュ・フロー の生成に寄与する資産をいい、 のれん を除く。
理論記述問題
Q.減損損失の認識の判定において、割引前将来キャッシュ・フローを用いるのはなぜか?
A.減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識することが適当であるから。
(解答欄が3行以上ある場合)
A.減損損失の測定は、将来キャッシュ・フローの見積りに大きく依存するため、将来キャッシュ・フローが約定されている場合の金融資産と異なり、成果の不確定な事業用資産の減損は、測定が主観的にならざるを得ない。その点を考慮すると、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識することが適当であるから。
第4話 将来キャッシュ・フロー ~「将来C/F」は盛っちゃダメ!~
| 社長 | 白柴くん、ウチの古い工場もそろそろ減損の「げ」の字が心配になってきたな。 |
| 経理 | そうですね。まずは「この資産が将来いくら稼ぐか」という見積もりから始めましょう。 |
| 社長 | よし!じゃあ今は止まってるあの機械も、修理して来年は倍稼ぐ計画にしよう! |
| 経理 | 社長、ちょっと待ってください。まだ決まっていない改造や増強計画は算入できません。 |
| 投資家 | 願望でキャッシュ・フロー(C/F)を盛るのは禁止だ。実態のない数字は投資家を惑わすからな。 |
| 経理 | ちなみに、使い道が決まっておらず将来の稼ぎが見込めない遊休資産は、C/Fはゼロ扱いです。 |
| 社長 | 稼ぐ計画がないとゼロ評価か、厳しいな。じゃあ逆に、最悪の事態に備えて少なめに出そう。景気が悪くなって計画から「乖離(かいり)」するリスクを考えて、今のうちに多めに損を打つよ。 |
| 投資家 | いや、それもダメだ。減損が必要かどうかの「判定」では、下振れリスクをあえて無視するんだ。 |
| 社長 | え? リスクを考えたほうが保守的でいいんじゃないの? 会計は慎重さが大事だろ? |
| 経理 | 実はここが重要で、判定ステップは「明らかに投資回収が無理な資産」を弾くためのフィルターなんです。もしここで不安要素まで含めて弱気に見積もると、正常な資産まで減損の網に掛かってしまいます。 |
| 投資家 | 判定段階でそんなに臆病になっていたら、企業は赤字だらけになって信頼を失ってしまうぞ。 |
| 経理 | さらに理論的な理由もあります。リスクを2回引いてしまう「二重計上」を防ぐためです。 |
| 社長 | 二重計上?さっき「下振れを考えろ」と言ったり「考えるな」と言ったり、どっちなんだ? |
| 投資家 | 実際に「損がいくらか」を測る本番の計算では、割引率という形でリスクをガッツリ反映させる。最初の判定でもリスクを引くと、C/Fと割引率で「リスクの二重取り」になり、損が膨らみすぎるんだ。 |
| 社長 | なるほど!判定は「一番可能性が高い数字」で、加工せずに正々堂々とぶつけろってことか。 |
| 経理 | その通りです。判定はリスクを混ぜずにフラットに。計算は割引率で厳しく。これが鉄則です。 |
| 社長 | 判定は事実ベース、計算はリスク重視。減損会計のメリハリがようやく腑に落ちたぞ! |
黒柴投資家割引率を高く設定すると、将来のキャッシュは現在価値に割り引かれた際、より小さな金額になる。これは、投資家が「リスクが高い」と判断すれば、より高い利回りを要求するのと同じ理屈だ。
第5話 最頻値法と期待値法 ~どっちを使う?~
| 社長 | 白柴くん、さっきのC/Fの続きだけど…予測が3つあるぞ?どれを使えばいいんだ?💦 |
| 経理 | では、最頻値法か期待値法について、実際に割引前C/Fの計算例を見てみましょう。 |
| 社長 | 最頻値法って、一番起こりそうなやつを選ぶんだよな? |
| 経理 | そのとおりです。今回なら、発生確率が55%の110千円が最頻値ですね。 |
| 投資家 | 期待値法の場合は、全部の金額に確率を掛けて足す。90×25%、110×55%、150×20%…合計117千円になる。 |
| 社長 | 110千円と117千円…結構違うんだな。どっちがいいんだ? |
| 経理 | 理論的には期待値法のほうが精緻です。でも実務では確率を合理的に決めるのが難しいので、最頻値法がよく使われます。 |
| 投資家 | 期待値は理論派、最頻値は実務派といったところか。どっちにしても根拠が命だぞ。 |
| 社長 | うん、ウチはまず最頻値で行こう!合理的に説明できるしな🐾 |
| 経理 | それが一番です。減損のC/F見積もりは「使いたい数字を選ぶ」のではなく、合理的に支持できる数字を選ぶことが大前提ですから。 |
| 社長 | なるほど~、将来キャッシュ・フローと割引率についてはだいぶ理解できたな! |
| 予測 | 将来C/F(A) | 発生確率(B) | A×B |
|---|---|---|---|
| 予測1 | 90千円 | 25% | 22.5千円 |
| 予測2 | 110千円 | 55% | 60.5千円 |
| 予測3 | 150千円 | 20% | 30千円 |
| 合計 | — | 100% | 117千円(期待値) |
条文穴埋問題
4. 将来キャッシュ・フロー
(1) 減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積られる将来キャッシュ・フロー及び使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、 企業に固有の事情 を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積る。
(2) 将来キャッシュ・フローの見積りに際しては、資産又は資産グループの現在の 使用状況 及び 合理的な使用計画等 を考慮する。(注5)
(3) 将来キャッシュ・フローの見積金額は、生起する 可能性の最も高い 単一の金額又は、生起しうる複数の将来キャッシュ・フローをそれぞれの確率で 加重平均 した金額とする。(注6)
(4) 資産又は資産グループに関連して間接的に生ずる支出は、関連する資産又は資産グループに合理的な方法により配分し、当該資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りに際し 控除 する。
(5) 将来キャッシュ・フローには、利息の支払額並びに 法人税等 の支払額及び還付額を含めない。
(注6)将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクについては、 将来キャッシュ・フローの見積り と 割引率 の いずれか に反映させる。ただし、減損損失を認識するかどうかを判定する際に見積られる割引前将来キャッシュ・フローの算定においては、このリスクを反映させない。
5. 使用価値の算定に際して用いられる割引率
使用価値の算定に際して用いられる割引率は、 貨幣の時間価値 を反映した税引前の利率とする。
資産又は資産グループに係る将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクが、将来キャッシュ・フローの見積りに反映されていない場合には、 割引率 に反映させる。
第6話 減損処理後の会計処理 ~減らしたら戻せない!?~
| 社長 | よし、減損処理が終わったぞ!帳簿価額が減ってスッキリしたな。これからの会計処理はどうなるんだ? |
| 経理 | 減損処理を行った後の資産は、減損損失を控除した後の新しい帳簿価額に基づいて減価償却を行っていきます。 |
| 社長 | よかった。新しい価値で心機一転、頑張ってもらうぞ!ところで、もし景気が良くなって、また収益性が回復したら、減らした分の帳簿価額を「戻し入れ」できるのか? |
| 経理 | いいえ、減損損失の戻入れは行いません。 |
| 社長 | ええー!せっかく価値が戻っても、帳簿価額は低いままなのか?😢 |
| 投資家 | 減損損失は、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って計上する厳しい処理だ。その厳しい基準で一度減らしたものを、安易に戻すことは認めないのが会計の原則なんだ。 |
| 経理 | そのとおりです。一度「確実に回収できない」と判断したものを、後から「戻るかも」という不確実な期待で戻してしまうと、財務諸表の信頼性が揺らいでしまうためです。 |
| 社長 | なるほど…。一度減損したら、もう後戻りはできない。だからこそ、最初の減損判定がとても重要な作業なんだな! |
条文穴埋問題
三 減損処理後の会計処理
1.減価償却
減損処理を行った資産については、
減損損失
を控除した
帳簿価額
に基づき減価償却を行う。
2.減損損失の戻入れ
減損損失
の戻入れは、
行わない
。
理論記述問題
Q.減損損失の戻入れを行わないのはなぜ?
A.減損の存在が相当程度確実な場合に限って減損損失を認識及び測定するから。
よくある質問
- 条文において、「減損処理を行った資産については、 減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行う。」とありますが、当期末に資産の減損処理を行う場合、減価償却費は減損処理後の帳簿価額に基づいて計算するのでしょうか。
-
減損処理前の帳簿価額に基づいて計算します。
当該条文は、減損処理を行った翌期以降の減価償却に関する規定です。当期末においては、まずは通常どおりの減価償却を行い、その償却後の帳簿価額に基づいて減損損失を認識するかどうかの判定をします。判定の結果、減損損失が認識・測定されたら、翌期は減損処理後の帳簿価額に基づいて減価償却費の計算をしていきます。
注記
減損損失の額を減価償却累計額に合算して控除している場合、減価償却累計額に含まれる減損損失累計額を注記する必要があります。
貸借対照表等に関する注記
有形固定資産の減価償却累計額に、減損損失累計額 ☓☓☓千円が含まれている。

