【シバ犬🐾財務諸表論】リース取引に関する会計基準

目次

第1話 ファイナンス・リース取引とは ~借りてるの?買ってるの?~

社長白柴くん、最新コピー機をリース契約したぞ!初期費用ゼロ、これは神だな😎
経理ストップです社長!そのリース、ファイナンス・リースかもしれませんよ!
社長ファイナンス?英語で煙に巻くな!借りてるだけだろ? 払った分だけ賃借料じゃダメなの?
経理昔はそうでしたが、今は実質が「割賦購入」なら、ファイナンス・リースといって、売買に準じた処理をしなきゃダメなんです!ファイナンス・リース以外はオペレーティング・リースで賃貸借処理です。
投資家そのとおり。経済的実態が売買と同じなのに、賃貸借で処理したら、その取引の本質を財務諸表に正しく反映したことにならないからな。
経理つまり、ファイナンス・リースは、法的には「借りている」形でも、実態は「分割で買っている」のと同じなんですなので、割賦売買取引との比較可能性を保つために「売買処理」が採用されているんです。
社長なんてこった!? どんなリース契約が、ファイナンス・リースになるんだ!?
経理要件は2つです!① 解約不能と、② フルペイアウトです。
社長解約不能は契約を解除できないってことだろ?これはなんとなくわかるが、フルペイアウトってなんだ?
経理解約不能はそうですね。フルペイアウトというのは、借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受し、使用によって生じるコストを実質的に負担することをいいます。
投資家つまり、自分のものと変わらない状態ってことだな。
社長うーん…“借金して買ってる”ようなもんか…。

条文穴埋問題

(用語の定義)

4. 「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッシー)に対し、 合意された期間(以下「 リース期間 」という。)にわたりこれを 使用収益する権利 を与え、借手は、合意された使用料(以下「 リース料 」という。)を貸手に支払う取引をいう。

5. 「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の 中途 において当該契約を 解除 することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる 経済的利益 を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じる コスト を実質的に負担することとなるリース取引をいう。

6. 「オペレーティング・リース取引」とは、 ファイナンス・リース取引以外 のリース取引をいう。

7. 「リース取引開始日」とは、借手が、リース物件を 使用収益する権利 を行使することができることとなった日をいう。

理論記述問題

Q.ファイナンス・リース取引に該当するための要件は?(2つ)

A.解約不能、フルペイアウト

Q.「フルペイアウト」とは?

A.フルペイアウトとは、借手が、リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することをいう。

Q.ファイナンス・リース取引を賃貸借処理とした場合、どのような問題があるか?

A.リース取引の経済的実態が、当該物件を売買した場合と同様の状態にあると認められるものについて、これを賃貸借取引として処理することは、その取引実態を財務諸表に的確に反映するものとはいえない

Q.ファイナンス・リース取引に売買処理が採用されたのはなぜか?

A.ファイナンス・リース取引は法的には賃貸借であるが、その経済的実態は資産の割賦売買取引と同様であり、会計処理の比較可能性を確保する必要があることから。

第2話 ファイナンス・リース取引の会計処理 ~資産と負債のダブル計上~

社長白柴くん、その「実質買ってる」扱いになったら、実際の会計処理はどうするんだ?
経理はい。リース取引開始日に、売買取引に準じて「リース資産」と「リース債務」を計上します。
社長やっぱり資産と負債を両方載せるのか。
経理はい。借手は、リース物件からの経済的利益を享受できる権利を有しているので資産性が認められ、また、リース期間にわたってリース料を支払う義務があるので負債性も認められますからね。
投資家計上額は、支払うリース料総額から利息を除いた元本部分。つまり“分割払い購入”と同じ考え方だな。
社長とほほ、リース料を全部費用にできると思ってたのに…。
社長ところで、このリース資産って、資産で計上するなら減価償却するのか?年数の決め方が難しそうだね。
経理いい質問です!ファイナンス・リース取引は、「所有権が最終的に移るかどうか」で2つに分かれます。
投資家「所有権移転型」と「所有権移転外型」だな。
経理その通り!契約書に「リース期間終了後、所有権が会社に移転する」とあれば所有権移転型です。
社長移転型の償却はどうなる?
経理経済的には“完全に自社資産”と同じなので、物件の経済的耐用年数で償却します。
投資家じゃあ、移転しない「所有権移転外型」は?
経理返却前提なので、リース期間で償却します。残存価額もゼロとします。
社長なるほど!移転型は「一生使う」前提だから耐用年数、移転外型は「借りた期間だけ」だからリース期間か!
経理その理解で完璧です!「所有権が移るかどうか」という一文が、減価償却期間を左右するんです。
投資家まさにリース会計の核心だな。

条文穴埋問題

ファイナンス・リース取引の分類

8. ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの(以下 「 所有権移転 ファイナンス・リース取引」という。)と、それ以外の取引(以下「 所有権移転外 ファイナンス・リース取引」という。)に分類する。


ファイナンス・リース取引の会計処理

9. ファイナンス・リース取引については、 売買取引に係る方法 に準じて会計処理を行う。

(借手側)
10. 借手は、 リース取引開始日 に、通常の 売買取引に係る方法 に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務を リース資産 及び リース債務 として計上する。

11. リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意された リース料総額 からこれに含まれている 利息相当額 の合理的な見積額を控除する方法による。当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり 利息法 により配分する。

12. 所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、 自己所有の固定資産 に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、 リース期間 を耐用年数とし、残存価額を ゼロ として算定する。

理論記述問題

Q.ファイナンス・リース取引の借手における「リース資産」には資産性があるか概念フレームワークに照らして説明すること)

A.ファイナンス・リース取引の借手はリース物件からもたらされる経済的利益を享受する権利を有しており、これはリース取引の借手が経済的資源を支配していると認められることから、リース資産には資産性がある。

Q.ファイナンス・リース取引の借手における「リース債務」には負債性があるか?(概念フレームワークに照らして説明すること)

A.ファイナンス・リース取引の借手はリース期間にわたってリース料を支払う義務があり、これはリース取引の借手が支配している経済的資源を引き渡す義務と認められることから、リース債務には負債性がある

参考条文

企業会計基準第13号 リース取引に関する会計基準(HTML版PDF版

 ※ 新リース会計基準について

 2024年、「企業会計基準第13号 リース取引に関する会計基準」に代わり、新たに「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」が公表されました。

 新基準の適用は、2027年4月1日以後開始事業年度(2028年3月期)からです。

 したがって、税理士試験での出題は2028年8月試験からになると思われます。

 参考までに、「収益認識に関する会計基準」は2018年公表、適用は2021年4月1日以後開始事業年度(2022年3月期)からでしたが、税理士試験での初出題は2022年8月試験でしたので、 この例からも、正式適用前の出題はほぼないと考えられます。

目次