【シバ犬🐾財務諸表論】自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
目次
第1話 自己株式の取得 ~発行した後、買い戻す~
| 社長 | そういえば、うちも市場でちょっと自社株を買ってみようと思ってるんだけど、あれって資産扱いでいいのか? |
| 経理 | 実はそれ、昔は資産説って考え方もあったんです。自己株式を取得しただけでは、まだ株式は失効してないし、他の有価証券と同じように換金性のある会社財産だから資産でしょ!っていう理屈ですね。 |
| 投資家 | でも今は違う。現行制度では資本控除説が採用されてる。 |
| 社長 | 黒柴さん、今回は出てくるの早いね!てか、資本控除説って なんか減らされてる感あるね。 |
| 経理 | はい。自己株式を取得するのは、株主にお金を返すので資本取引。だから「資本の払戻し」なんです。貸借対照表では純資産の部から控除します。 |
| 投資家 | 条文にもちゃんと書いてあるぞ。自己株式は取得原価で、株主資本の末尾から一括して控除。つまり、資本金などを個別に減らすんじゃなく、全体からまとめて差し引く。 |
| 社長 | へぇ~、でもなんで直接減らさないの? |
| 経理 | それはですね、自己株式って取得しただけでは、発行済株式総数が減少するわけではなく、この後、処分もあり得る、いわば暫定的な状態だからです。“保留中の株”みたいな感じなんです。なので、取得原価で一括して株主資本全体から控除するんですね。 |
| 社長 | なるほど、“仮の在庫”みたいな株なんだな。 |
第2話 自己株式の処分 ~まるで新株発行!?~
| 社長 | で、その自己株式、また売るときはどう処理するの? |
| 経理 | 自己株を売ることを“自己株式の処分”と言います!これ、経済的実態は新株の発行と同じなんですよ。 |
| 投資家 | そう。そして、処分して得たお金と帳簿価額の差は“自己株式処分差額”と呼ぶ。それがプラスなら“処分差益”、マイナスなら“処分差損”。 |
| 社長 | ふむふむ。じゃあ、その差額はどこに入れるんだ? |
| 経理 | 処分差益は「その他資本剰余金」に計上すします!処分差損の場合は、その他資本剰余金から減額です! |
| 投資家 | なんで利益じゃないかというと、さっき、白柴くんがいったように、これは“株主との資本取引”だから。つまり“払込資本”と同じ性格だから、損益取引とはしないということだ。 |
| 社長 | なるほど、株主と“出し入れ”してるだけで、儲けじゃないんだな🐾 |
第3話 自己株式の消却 ~“持ってても意味がない株”!?~
| 社長 | ところで白柴くん、自己株式は売らない場合は、ずっと持っておくの? |
| 経理 | 実は、持ってても“議決権も配当もない”ので、意味がないんです。だから普通は消却します。 |
| 投資家 | 消却っていうのは、文字どおり“株を消す”こと。帳簿上からも完全に削除するんだ。もちろん、発行済株式数も減ることになる。 |
| 社長 | へぇ~、消却処理はどうするんだ? |
| 経理 | 消却した自己株式の帳簿価額は、その他資本剰余金から控除します。つまり“払込資本”を減らすイメージですね。 |
| 投資家 | 要するに、自己株式を消すってことは、“株主からの資本”を減らす処理なんだ。 |
| 社長 | なるほど。だから会社の“資本の大きさ”も減るんだな。 |
| 経理 | そうです。だから、自己株式を消却するときも損益は発生しません。あくまで“株主との資本取引”なんです。 |
| 社長 | やれやれ、自己株式って、買う・売る・消す、ぜんぶ資本取引なんだな。 |
第4話 自己株式に関する付随費用 ~国際基準と処理が違う!?~
| 社長 | 白柴くん、自己株式を買ったり売ったりするときの手数料はどう処理するんだ? |
| 経理 | それが“自己株式に関する付随費用”です。基準の第14項で、損益計算書の営業外費用に入れると決まってます。 |
| 投資家 | 営業外費用ってことは、本業とは関係のない“財務費用”扱いだな。 |
| 社長 | なんで損益に入れるんだ?資本から引いちゃダメなのか? |
| 経理 | いい質問ですね。自己株式を「買う・売る・消す」は会社の意思決定で行うものなので、会社の業績に反映させるべきなんですよ。 |
| 投資家 | つまり、「やるかどうか」で費用が変わる。だから損益処理にしてるんだ。 |
| 社長 | なるほどなー。国際的にみてもそれが通常なのか? |
| 経理 | 国際会計基準(IFRS)では、特に処分や消却の付随費用を“自己株式本体の取引と一体”と考えて、資本から控除します。 |
| 投資家 | 一方、日本では、新株発行費用を資本から引かない処理との整合性をとって、営業外費用にしているんだ。 |
| 社長 | なるほど、国によって“費用をどこに出すか”の考え方が違うんだな。 |
| 経理 | そうです。日本は「経営判断のコストは業績に出す」方針なんです。 |
第5話 資本剰余金と利益剰余金 ~混ぜるな危険!~
| 社長 | 白柴くん、うちの「資本剰余金」と「利益剰余金」って、似たような名前だけど、まとめて「剰余金」ってしちゃダメなの? |
| 経理 | ダメです社長!それ、混同禁止です! |
| 投資家 | おっと出たな、「混同禁止」条項。ちゃんと『企業会計原則 一般原則三』と『自己株式等会計基準第19項』で明記されてるんだよな。 |
| 社長 | へぇ~、そんな厳しく言われるほど大事なことか? |
| 経理 | 大事ですよ。だって、資本剰余金は株主が払ったお金(払込資本)、利益剰余金は払込資本を利用して会社が稼いだお金(成果)ですから! |
| 投資家 | もしこれを混ぜたら、“出資金と儲け”の区別があいまいになる。つまり“株主の元手”と“経営の成果”がごっちゃになるんだ。だから混ぜるな危険、なんだ。 |
| 社長 | なるほど、“お年玉”と“バイト代”を一緒にするようなもんだな💦 |
| 経理 | その通りです!ただし、例外もあります。2つだけ―― 🐾① 利益剰余金がマイナスのときは、その他資本剰余金で補てんできる。 🐾② その他資本剰余金がマイナスのときは、利益剰余金で補てんできる。 |
| 投資家 | つまり、どっちかが“赤字”になったら、もう一方で助ける“救済ルール”だな。 |
第6話 その他資本剰余金がマイナスの場合 ~“混ぜるな危険”の例外、再登場!~
| 社長 | そういえば、自己株式を処分したり、消却したら“その他資本剰余金”が減るって言ってたよな。もしマイナスになったらどうなるんだ? |
| 経理 | いいところに気づきましたね社長!その場合、条文(第12項)ではこう定められています👇 “その他資本剰余金の残高が負の値となったときは、会計期間末において、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)で補填する。” |
| 投資家 | つまり、途中はいいけど最終的にマイナスのまま表示するのはダメ。だって資本剰余金は“株主からの払込”を意味するのに、マイナスってのはおかしいだろ? |
| 社長 | なるほど、出資金がマイナスって、たしかに変だな🐶想定されてないってことね。 |
| 経理 | だから、“表示せずに補てん”が原則です。このときだけは、混同禁止の“例外”なんです。 |
| 投資家 | ちなみに、その他資本剰余金がマイナスになるのは主に2パターン。① 自己株式処分差損が出たとき、② 自己株式を消却したとき、だ。 |
| 社長 | やれやれ、自己株式は扱いがデリケートだな💦 |