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第1話 発生源泉から見る自己資本 ~投資家が注目する会社の稼ぎ~
| 社長 | 白柴くん、「資本」っていろんなところで出てくるよな。「総資本」「自己資本」「他人資本」「株主資本」…多すぎて混乱するぞ。どう違うんだ? |
| 経理 | そうですね。「資本」という言葉は、使われる場面で意味が変わるので分かりにくいんです。まずは全体像から整理しましょう。 |
| 社長 | とりあえず「総資本」って、一番デカいイメージなんだけど? |
| 経理 | そのとおりです。総資本は貸借対照表の貸方項目全体を表します。そして貸方項目は、お金の調達源泉によって大きく二つに分かれます。 |
| 経理 | 一つは 他人資本(負債)。銀行借入や買掛金など、返済義務のある資金です。 |
| 社長 | なるほど。「外部の人のお金=他人資本」、じゃあ、「ウチの金=自己資本」ってことか? |
| 経理 | そういう理解でOKです。もう一つの 自己資本 は返済義務がなく、企業の所有者である株主に帰属する部分です。 |
| 投資家 | 会社が倒産したら、まず他人資本(債権者)に返済し、残った分が自己資本(株主)に戻る。ここの違いは実は非常に大きい。 |
| 社長 | じゃあ自己資本って「オーナーが持ってるお金」ってことか?結局、儲かったかどうかが大事なんだよな? |
| 経理 | その点も大事ですが、実は自己資本には“さらに重要な見方”があるんです。ここから先が自己資本の深掘りです。 |
| 投資家 | そう。「いくら儲かったか」よりも、その自己資本がどこから増えたのかが投資家は知りたい。 |
| 社長 | どこから来たか?そりゃ、商売してお客さんからもらったお金でしょ。 |
| 投資家 | あまいな。自己資本は、株主が払ってくれたお金でも増えるだろ。 |
| 経理 | そうです!それは、いわゆる増資ですね。自己資本は、株主からの出資なのか、商売による儲けなのか、その発生源泉で分類するのが会計上の基本です。これを、「払込資本」と「留保利益」の区分と言います。 |
| 社長 | なるほど。払込資本は株主が最初に出してくれたお金、留保利益は俺たちが稼いで積み上げた利益ってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。発生源泉によるこの分類が、自己資本の最もベーシックな考え方です。 |
| 投資家 | 投資家は特に、留保利益がどれだけ増えているかを重視する。払込資本ではなく、企業の稼ぐ力で自己資本がどれだけ伸びたかを見たいわけだ。 |
| 社長 | なるほど!俺たちの頑張り(留保利益)で増えたのか、株主の払込資本で増えたのかをハッキリ示す必要があるのか!これって投資家への重要な情報開示なんだな😎 |
第2話 分配可否から見る自己資本 ~債権者保護と貸借対照表の調整~
| 社長 | この前の話で、自己資本は「発生源泉(払込資本と留保利益)」で分類するのが会計上の基本って分かったよ。でも白柴くん、他にも何か分類が必要って言ってなかった? |
| 経理 | はい、そうです。もう一つの重要な分類が、会社法の要請による分配可否による分類です。 |
| 社長 | 分配可否か。それは誰のために必要なの? |
| 経理 | 主に債権者保護の観点からです。会社法は、資本を「維持すべき部分」と「分配可能な部分」に分けることを重視します。 |
| 社長 | 資本金や準備金は、簡単に配当に回せない「維持すべき部分」だね。これを勝手に配当しちゃうと、会社のお金が減って債権者が泣くことになるもんな😢 |
| 経理 | そのとおりです。剰余金は配当などに回せる「分配可能な部分」ですが、資本金及び準備金は厳格に守る必要があります。 |
| 投資家 | 会社法が分配可否を重視するのに対し、会計は発生源泉を重視する。この二つの目的が違うから、貸借対照表では調整が必要になる。 |
| 社長 | うーん、会計のルールと、会社法のルールがケンカしちゃうってこと?どうやって調整するんだ?💦 |
| 経理 | 貸借対照表上の自己資本は、発生源泉による分類(会計の考え方)をベースにし、そこに分配可否の区分(会社法の要請)を加味する形で調整されています。 |
| 投資家 | つまり、貸借対照表では、まず会計の考え方に沿って、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」っていう発生源泉ベースの区分が表示されている。 |
| 経理 | そのうえで、会社法のルールに合わせて、資本金と資本準備金・利益準備金は『分配不可』、利益剰余金のうちその他利益剰余金は『分配可能』っていう保護の枠組みが被さっているわけです。 |
| 社長 | おお、つまり——表示は会計の区分、分配制限は会社法の考え方!二段構えで自己資本を見てるってことか!✨ |
図解まとめ
| 視点(分類軸) | 要請元 | 目的 | 貸借対照表への反映 |
|---|---|---|---|
| ① 発生源泉による分類 (どこから来たお金か) | 会計 (財務報告) | 投資家への情報開示 | 資本金 / 資本剰余金 / 利益剰余金 の区分で表示 |
| ② 分配可否による分類 (配当してよいお金か) | 会社法 (債権者保護) | 維持すべき資本と 分配可能な資本の区別 | 資本金・準備金=分配不可 その他利益剰余金=分配可能 |
結論:貸借対照表上の自己資本は、会計上の分類をベースに、会社法の要請を加味した形になっている。

