【シバ犬🐾簿記論】建設業会計

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建設業と工事契約 -「建てる」だけじゃない、会計の話

社長白柴くん、うちもそろそろビル建設に手を出してみようと思うんだよね~!夢が広がるな~✨
経理ちょ、ちょっと待ってください社長💦 建設業って「受注生産」が基本で、普通の商売とは会計処理が違うんですよ。
社長えっ、売上たてるだけじゃないの? 完成したらドーンと売上計上!みたいな?
経理それがですね…建設業では「工事契約」に基づいて、収益の認識方法が3つあるんです。
投資家進捗度に応じて認識」「完成時に一括で認識」「原価回収基準」だな。状況に応じて使い分ける。
社長なんか急に難しくなってきたぞ…💦 進捗度って、どれくらい工事が進んだかってこと?
経理はい。進捗度を合理的に見積もれる場合は、「進捗度に応じて認識」します。昔の「工事進行基準」とほぼ同じです。
社長なるほど、途中でも売上をちょっとずつたてていくってことか。
投資家ただし、進捗度が見積もれないとか、要件を満たさない場合は「完成時に一括で認識」になる。つまり、完成して引き渡した時点で収益認識だ。
経理さらに、原価回収基準というのは、「進捗度もわからないけど、かかったコスト分は回収できそう」ってときに使う方法です。あくまで例外的ですけど。
社長ふむふむ。じゃあ、どの方法を使うかは、工事の内容や進み具合で決めるってことか。
経理そのとおりです!次は、建設業特有の勘定科目について見ていきましょう!

建設業の科目と財務諸表 -「売上」じゃなくて「完成工事高」!?

社長建設業って、使う科目も違うの?
経理そうなんです!建設業には特有の勘定科目があって、普通の商業簿記とはちょっと違うんですよ。
社長たとえば?「売上」とか「売掛金」とかじゃないの?
経理はい。建設業では「売上」は「完成工事高」、「売掛金」は「完成工事未収入金」って言うんです。あと、前受金は「未成工事受入金」になります。
投資家名前が違うだけじゃなくて、処理のタイミングや意味合いも違うから注意な。
社長なるほど~、名前が違うだけで混乱しそうだな💦
経理さらに、工事原価は材料費・労務費・経費の3つに分けて集計します。期中はそれぞれの勘定に記録して、決算時に「未成工事支出金」に振り替えます。
社長それが「仕掛品」みたいな役割ってことか?
経理そのとおりです!そして、完成した分だけ「完成工事原価」として振り替えて、損益計算書に載せます。
投資家それに加えて、建設業では「完成工事原価報告書」っていう専用の財務諸表も作る。
社長えっ、そんなのもあるの!? 貸借対照表と損益計算書だけじゃないのか😲
経理はい、工事ごとの原価の内訳を明らかにするために必要なんです。
社長よーし、じゃあ次は「進捗度の見積もり方」ってやつを教えてくれ!📐

工事進捗度と収益計算 -原価比例法で見えてくる!

社長進捗度に応じて収益を認識するって言ってたが、どうやって進捗度は測るんだ?
経理進捗度の測定には「アウトプット法」と「インプット法」がありますが、建設業ではインプット法、特に原価比例法がよく使われます。
社長原価比例ってことは、つまり、かかった原価の割合で進捗を出すってこと?
経理そのとおりです!たとえば、工事全体で1,000万円かかる予定で、今年300万円使ったら、進捗度は30%。だから収益も30%分を計上します。
投資家ただし、工事原価総額の見積りが変わったら、進捗度も見直しが必要だ。
社長えっ、じゃあ途中で「やっぱり1,200万円かかりそう」ってなったら?
経理その場合は、変更後の見積額で進捗度を再計算します。ただし、前期の進捗度は修正しません
社長ふむふむ、じゃあ毎期末に見直すのが大事なんだな。
経理そうです。そして、進捗度に応じた収益認識では、未成工事支出金は基本的に期末に残りません。全部その期の収益と費用に対応させるからです。
社長よーし、原価比例法の計算、しっかりマスターしておかないとな!📊

工事損失引当金 -赤字が見えたら、先に備えろ!

社長白柴くん、最近資材費が高騰しててさ~、うちの大型案件、ちょっとヤバいかも…😰
経理それは大変ですね…。もし工期全体で赤字が見込まれるなら、「工事損失引当金」の計上が必要になりますよ。
社長えっ、まだ赤字になってないのに、もう損失を計上するの?
経理はい。会計では、将来の損失が見込まれた時点で、見越して引当金を計上するんです。
投資家「赤字になってからじゃ遅い」ってことだ。見えた時点で備える。損失を繰り延べるな。
社長なるほど…でも、どれくらい引き当てればいいの? 全部?
経理引当額は、工期全体の損失見込額から、すでに計上済みの損益を差し引いた残りです。つまり、将来に発生する損失だけを引き当てます。
社長たとえば、全体で100億円の損失が見込まれてて、すでに70億円の損失が出てるなら、残りの30億円を引き当てるってこと?
経理そのとおりです!ただし、過去に利益が出ていた場合は、それも考慮します。たとえば、1期目に20億円の利益、2期目に70億円の損失なら、差し引き50億円が将来の損失。これを引当金として計上します。
投資家そしてその引当金は、完成工事原価に含めて表示するのが基本だ。
社長ふむふむ、じゃあ引当金を計上したら、次の期はどうなるの?
経理次の期に実際に損失が出たら、引当金を取り崩して損失に充当します。つまり、引当金を使って損失をゼロにするイメージですね。
社長なるほど、先に備えておけば、後でドカンと赤字にならずに済むってわけか!
投資家ただし、引当金の設定時期を見誤るとアウトだ。赤字が見込まれた時点で、即座に計上しなきゃいけない。
経理そうですね。たとえば、第2期末に初めて赤字が見込まれたら、その時点で引当金を設定します。第1期の黒字も考慮して、将来分だけを見積もるのがポイントです。
社長よーし、じゃあうちも早めに見積もり見直して、必要なら引当金を計上しよう!備えあれば憂いなしだな💪

「建設業会計」の本試験ポイント

  • 工事損失引当金を繰り入れたら、翌期の工事原価から戻入額を引くのを忘れないこと。
  • 本試験では複数の工事物件(4~5件)が出題されるため、表形式で整理・集計していく。

(集計表サンプル)

項目A工事B工事C工事D工事
完成工事高
完成工事原価
完成工事利益
工事損失引当金
完成工事未収入金
契約資産
契約負債
(未成工事受入金)
未成工事支出金
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