第1話 企業会計原則とは -会計にも“憲法”があるってホント!?
| 社長 | 白柴くん、会計って法律でもないのに、なんでこんなにルールが多いの? 俺、自由が好きなんだけど! |
| 経理 | 社長、企業会計原則は“自由を守るためのルール”なんですよ。これがないと、企業ごとにバラバラな報告になって、誰も比較できません。 |
| 投資家 | そう。投資家から見ても、同じルールで作られた決算じゃないと判断できませんからね。 |
| 社長 | なるほど。“好き勝手禁止ルール”ってことか! |
| 経理 | まあ…言い方は雑ですが(笑)、確かに“企業会計の憲法”みたいなものです。これが“一般に公正妥当と認められた会計の基準”なんですよ。 |
| 社長 | へぇ、そんなに大事なんだ。破ったらどうなるの? |
| 投資家 | 信頼を失いますね。会計の“真実性”を欠くと、誰もその会社を信用しません。 |
| 経理 | つまり、自由に見えても“信頼を守るための秩序”なんです。 |
| 社長 | うーん、犬の世界も会計の世界も、しつけが大事なんだな! |
(企業会計原則の設定について)
1 企業会計原則は、企業会計の 実務の中に慣習 として発達したものの中から、 一般に公正妥当 と認められたところを要約したものであって、必ずしも 法令 によって強制されないでも、すべての企業がその会計を処理するのに当たって 従わなければならない基準 である。
第2話 一般原則 -集まれ企業の7原則
「真実性の原則」 -数字でうそをつくな!
| 社長 | 白柴くん、うちの決算、ちょっと“見栄えよく”してもバレないんじゃない? |
| 経理 | 社長!“真実性の原則”に反します! |
| 社長 | え~、“真実”って人によって違うじゃん? |
| 経理 | ここでいう“真実”とは、“財政状態”や“経営成績”の真実な報告という意味です。つまり、“公正妥当な会計基準”に従って、誰が見ても“適正”と思えるように報告することなんです。 |
| 投資家 | なるほど。投資家としては、信頼できる財務諸表がいちばん大事だ。利益を盛られても意味がない。 |
| 経理 | そうなんです。この真実性の原則は“企業会計原則の最高規範”とされています。他に一般原則が6つありますが、全部で7つの原則の頂点に立つのがこの真実性の原則です! |
| 社長 | おぉ!なんかすごいな!やっぱ、“真実”を守るってのは、うちの信用を守るってことだからやっぱ大事だな! |
| 経理 | まさにそのとおりです、社長!“真実な報告”こそ、企業の信頼をつくる礎なんです。 |
(真実性の原則)
一 企業会計は、企業の 財政状態 及び 経営成績 に関して、 真実な報告 を提供するものでなければならない。
「正規の簿記の原則」 -領収書は正義!メモは混沌!
| (机の上に領収書の山) | |
| 社長 | 白柴くん、このメモ帳に取引書いといたから~。領収書とかいらないよね? |
| 経理 | (青ざめ)し、社長!“正規の簿記の原則”を無視してます! |
| 社長 | またそれ~。帳簿なんて細かいし! |
| 経理 | この原則では“網羅性”“検証可能性”“秩序性”が大事なんです。全部の取引を漏れなく記録し(網羅性)、証拠と一致していること(検証可能性)、整然と整理されていること(秩序性)! |
| (背後に黒柴投資家の幻影) | |
| 投資家 | 怪しい帳簿は、すぐ見抜くぞ……。 |
| 社長 | ひぇっ……! |
| 経理 | 取引証憑がそろっていて、帳簿と突き合わせられるからこそ、会計情報は信頼されるんです! |
| 社長 | もーけち(儲け+ケチ)な白柴経理め……でも、信頼には代えられないね! |
(正規の簿記の原則)
二 企業会計は、 すべての取引 について、 正規の簿記の原則 に従い、 正確な会計帳簿 を作成しなければならない。
「資本取引・損益取引区別の原則」 -出資ともうけは別モノです!
| 社長 | あのさ、株主に出したお金も経費ってことでいい? |
| 経理 | ダメです!それは“資本取引”。事業の“損益取引”とは区別しなきゃ。 |
| 社長 | え、でもどっちも“お金が出てく”のは同じじゃね? |
| 経理 | 見た目はそうでも、意味が違うんです。株主との取引は“出資者との関係の清算”。損益取引は“企業活動の成果”を表すものです。 |
| 投資家 | 株主としては、経営の成果を正しく知りたい。出資の返済まで混ぜられたら、どっちが儲けたのかわからん。 |
| 経理 | その通り。これを混同すると“真実性の原則”も崩れます。 |
| 社長 | なるほど、企業の“儲け”と“元手の出入り”は別腹ってことだな。 |
(資本取引と損益取引の区別)
三 資本取引 と 損益取引 とを明瞭に区別し、特に 資本剰余金 と 利益剰余金 とを混同してはならない。
「明瞭性の原則」 -会計も”見える化”が命!
| 社長 | 決算書、数字だけ並べたらかっこよくない? 注記とか地味だし。 |
| 経理 | 社長、会計は“見せる芸術”じゃなくて“伝える科学”です! “明瞭性の原則”に反します! |
| 社長 | うっ……でも、なんでそんなに明瞭にしなきゃダメなの? |
| 経理 | 利用者が誤解せずに内容を理解できるようにするためです。表示はわかりやすく、注記で補足。これが“誠実な開示”です。 |
| 投資家 | 見にくい決算書は、不信感を招く。透明性が信頼の第一歩だ。 |
| 経理 | そのとおりです。“形式の明瞭さ”が“実質の信頼”につながります。 |
| 社長 | ……つまり、“きれいな決算書”って“誠実さの証明書”なんだね。 |
(明瞭性の原則)
四 企業会計は、 財務諸表 によって、 利害関係者 に対し必要な会計事実を 明瞭に表示 し、 企業の状況に関する判断 を誤らせないようにしなければならない。
「継続性の原則」 -ルールをころころ変えるな!
| 社長 | 白柴くん、在庫の評価方法、今年は変えてみない?利益ちょっと増えるかも! |
| 経理 | 社長、それは“継続性の原則”違反です! |
| 社長 | でも、うちの自由でしょ? |
| 経理 | 毎期同じ処理方法を続けることで“期間比較性”が保たれます。会計方針を変えるなら、“正当な理由”と“注記”が必要です。 |
| 投資家 | 投資家にとって、去年との比較は命だ。数字の基準が変わったら、判断できない。 |
| 経理 | だからこそ、“会計処理の一貫性”が信頼の鍵なんです。 |
| 社長 | なるほど、変えたら得するかもしれないけど、信用を失うのか……。 |
| 経理 | はい。信用は“利益より重い資産”です! |
(継続性の原則)
五 企業会計は、その 処理の原則及び手続 を 毎期継続 して適用し、 みだりに これを変更してはならない。
「保守主義の原則」 -慎重すぎてもダメ、攻めすぎてもダメ
| 社長 | いや~今期は強気で行こう!将来うまくいく予定だから、利益見積もっと高めで! |
| 経理 | だ、だめです社長!“保守主義の原則”を思い出してください! |
| 社長 | また出た~、“慎重派”の白柴くん! |
| 経理 | 不確実な状況では、損失は早めに、利益は確定してから認識します。これが“保守主義”です。 |
| 投資家 | “利益を盛らず・損を隠さず”──投資家はそこを見る。 |
| 経理 | ただし、過度の保守主義もNG。“真実性の原則”を損なう恐れがあります。つまり、“適度な慎重さ”が肝心です。 |
| 社長 | なるほどな……“希望的観測”より“冷静な判断”ってわけか。 |
| 経理 | まさにその通りです。会計は“希望”じゃなく、“証拠”で語るんです! |
(保守主義の原則)
六 企業の財政に 不利な影響 を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて 適当に健全な会計処理 をしなければならない。
「単一性の原則」 -帳簿は一枚岩でいこう!
| 社長 | 白柴くん、株主用と税務署用、ちょっと違う決算書作っちゃダメ? |
| 経理 | それはダメです!“単一性の原則”がありますから! |
| 社長 | でも、見せ方を変えるだけだし? |
| 経理 | 形式を変えるのはOKですが、中身(実質)は同じでなければなりません。“実質一元・形式多元”が原則です。 |
| 投資家 | 企業は“誰に対しても同じ実態”を示すべきだ。違う顔を見せるのは不信を招く。 |
| 経理 | まさに。“単一性”は社会との信頼契約でもあるんです。 |
| 社長 | なるほど、決算書って“会社の顔”なんだな。 |
(単一性の原則)
七 株主総会提出 のため、 信用目的 のため、 租税目的 のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、 会計記録 に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために 事実の真実な表示 をゆがめてはならない。
「重要性の原則」 -小さな出費に、大きな愛を
| 社長 | 白柴くん、文房具を全部資産計上するの、正直めんどい! |
| 経理 | そういうときのために“重要性の原則”があるんです! |
| 社長 | 重要性?あれっ!?まだ一般原則ってあるのか?7つって言ってなかったっけ? |
| 経理 | 軽微なものは簡便処理が認められます。ただし、“財務諸表の利用者の判断を誤らせない範囲で”です。 |
| 投資家 | つまり、“見ている人の立場で考える”ってことだな。 |
| 経理 | はい。重要性は“意思決定に影響を与えるかどうか”で判断します。 |
| 社長 | 会計って、“数字の思いやり”なんだな。 |
| 経理 | ええ、“誠実さと配慮の学問”なんです。 |
〔注1〕重要性の原則の適用について
企業会計は、定められた 会計処理 の方法に従って 正確な計算 を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の 財務内容 を明らかにし、企業の状況に関する 利害関係者の判断 を誤らせないようにすることにあるから、 重要性の乏しいもの については、本来の 厳密な会計処理 によらないで 他の簡便な方法 によることも 正規の簿記の原則 に従った処理として認められる。
重要性の原則は、 財務諸表の表示 に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
⑴ 消耗品 、消耗工具器具備品その他の 貯蔵品 等のうち、 重要性の乏しいもの については、その 買入時 又は 払出時 に費用として処理する方法を採用することができる。
⑵ 前払費用 、 未収収益 、 未払費用 及び 前受収益 のうち、 重要性の乏しいもの については、 経過勘定項目 として処理しないことができる。
⑶ 引当金 のうち、 重要性の乏しいもの については、これを 計上しない ことができる。
⑷ たな卸資産の取得原価に含められる引取費用、関税、買入事務費、移管費、保管費等の 付随費用 のうち、 重要性の乏しいもの については、 取得原価に算入しない ことができる。
⑸ 分割返済の定めのある長期の債権又は債務のうち、期限が一年以内に到来するもので 重要性の乏しいもの については、固定資産又は固定負債として表示することができる。
一般原則まとめ -7つの原則で、信頼される会計を!
| 投資家 | つまり、“真実性”を頂点に、“正確さ・区別・明瞭さ・継続・慎重さ・統一”の7つの原則に重要性の原則で実務要素を踏まえて、会計の信頼が支えられてるわけだ。 |
| 経理 | はい。“一般原則は会計界の7つ道具”です! |
| 社長 | うちもこの7つ、会社の壁に貼っとこ! |
| 投資家 | ……それ、毎期ちゃんと見直せよ? |
| 社長 | うっ、黒柴さんが一番怖い……! |

