【シバ犬🐾簿記論】デリバティブ取引
目次
デリバティブ取引とは ―「約束」を売買する取引!?
| 社長 | なあ白柴くん、「デリバティブ」って最近よく聞くけど、正直よく分からんぞ🐾 |
| 経理 | 大丈夫です社長。まずはイメージで押さえましょう。デリバティブは金融派生商品と呼ばれる取引です。 |
| 投資家 | その原資産の価格変動に連動して、デリバティブ自体の時価が動くのがポイントだ。 |
| 社長 | じゃあ、モノそのものを売買するわけじゃないのか? |
| 経理 | はい。多くの場合、将来いくらで売る・買うという約束を取引しています。 |
| 社長 | なるほど、約束の売買か。 |
| 投資家 | だからデリバティブは、差額だけをやり取りする差金決済が多い。 |
| 社長 | ふむふむ。なんか面白そうな感じだが、やっぱ会計処理は複雑なんだろ。 |
| 経理 | 慣れるまでは少し難しいですが、パターンは決まってますよ!まず、重要なのは、デリバティブは金融商品なので、原則として時価評価されます。 |
| 投資家 | つまり、期末ごとに評価して、損益を認識するのが基本だ。 |
| 経理 | はい。そして、前にお話ししました「為替予約」。あれも実はデリバティブ取引なんですよ! |
| 社長 | なに!?あの為替予約がデリバティブ!?🐾 |
為替予約(独立処理) ― 為替予約はデリバティブ!?
| 社長 | そういえば白柴くん!為替予約で思い出したんだけど、また海外に商品が売れたぞ!100ドルの掛売上だ🐾いつもどおり、これから為替予約をして振当てるぜい! |
| 経理 | 社長、為替予約の振当処理はすっかりマスターされましたね!ただ、実は為替予約の振当処理は特例処理なんですよ! |
| 社長 | なに!特例ということは、原則があるということか? |
| 経理 | はい。ここで先ほどの為替予約はデリバティブ取引というのが関係してきます。 |
| 投資家 | 為替予約は、将来のある日に、あらかじめ決めた為替レートで外貨を売買する契約のデリバティブ取引だ。 |
| 経理 | はい。なので、決算時に時価評価が必要で、独立処理というのが原則的な処理になります。 |
| 社長 | じゃあ、今回はその独立処理でやってみるか!取引日は2月1日、直物レートは1ドル=100円、現状、 売掛金10,000円/売上10,000円 で仕訳をしているぞ! |
| 経理 | わかりました。独立処理は、為替予約は売掛金とは別に、独立して会計処理する。売掛金はそのまま直物で管理し、予約は予約で時価評価します |
| 社長 | 別々で処理か~。予約は、3/1:1ドル=98円で売り予約を締結だな。 |
| 経理 | では、まずは売掛金の方は、取引日(2/1):売掛金10,000円(100ドル×100円)で計上し、独立処理なので、為替予約は為替予約を独立で見て、予約段階では仕訳なしです。 |
| 社長 | ふむふむ。で、その後の値動きはどう処理する? |
| 経理 | 為替予約は期末ごとに時価評価します。たとえば、6/30時点でその為替予約の時価が+50円(評価益)になっていたら、次の仕訳を切ります。 |
| 経理 | (6/30の仕訳) 為替予約 50 / 為替差益 50 → 評価差額を当期の損益に反映します。 |
| 投資家 | 重要なのは、この評価損益は売掛金の換算替とは別に扱われる点だ。売掛金は決済時に直物で換算される。 |
| 社長 | じゃあ、決済日(回収日)にはどうなる? |
| 経理 | 決済日には、売掛金は決済時の直物レートで換算して現金化します(例:決済時の直物が95円なら現金9,500円、売掛金消去で為替差損500円)。 |
| 投資家 | 一方、為替予約は別に決済され、デリバティブの評価差額は実現損益として処理される。 |
| 経理 | 結果として、売掛金側の為替差損益とデリバティブ側の損益は別々にP/Lに出ますが、振当て処理の場合と損益の結果は変わりません。 |
| 社長 | なるほど。振当処理のときみたいに売掛金が予約レートで固定されるわけじゃないんだな。 |
| 経理 | そのとおりです。独立処理は会計上シンプルに「別々に評価・認識」する方法です。 |
| 社長 | メリット・デメリットは? |
| 経理 | メリット:処理が明確で、為替予約の時価変動が即座に損益に反映される。デメリット:売掛金の為替変動とデリバティブの損益が別々に出るため、財務諸表上の変動が大きく見えることがある。 |
| 投資家 | つまり、実務では「何を重視するか」で振当処理と独立処理を使い分ける。財務の安定性を重視するなら振当、会計の透明性(時価反映)を重視するなら独立処理だ。 |
| 社長 | よし、これで独立処理のイメージがつかめたぞ!柴犬経理部、今日も勉強になった🐾 |
補足(仕訳のイメージ)
- 取引日(2/1)
売掛金 10,000 / 売上 10,000
- 予約締結時(3/1)
- 期末の時価評価(例:6/30、評価益50)
デリバティブ資産 50 / 為替差益 50
- 決済日(例:12/末、直物95で回収)
現金預金 9,500 / 売掛金 10,000 為替差損 500 / 売掛金 (または別途処理) (デリバティブは別途決済・現金化し、評価差額の実現を処理)
先物取引 ― 未来のドッグフードを今の値段で!
| 社長 | 白柴くん、うちは毎月ドッグフードを100袋仕入れてるよな。最近、値上がりしそうで心配なんだ🐾 |
| 経理 | それなら社長、先物取引を使う方法がありますよ。 |
| 社長 | 先物?まだ買わないのに、どういうことだ? |
| 経理 | たとえば今日が4月1日だとして、3か月後(7月1日)に、1袋100円で100袋買うと、今のうちに約束する取引です。 |
| 投資家 | つまり、将来の仕入価格を今の時点で固定するわけだな。 |
| 社長 | なんか為替予約と似ているな。まさか先物取引は、デリバティブ取引か?へぇ。 |
| 経理 | そうです!するどくなってきましたね!なので、例えば7月1日に、もし相場が1袋120円に上がっていても、契約どおり100円×100袋=10,000円で仕入れます。 |
| 社長 | おお、本来なら12,000円かかるところを10,000円で済むのか! |
| 投資家 | 差額の2,000円分だけ得をしている、という経済効果だな。 |
| 社長 | じゃあ逆に、7月1日に1袋80円に下がっていたら? |
| 経理 | その場合でも、契約どおり100円で買う義務があります。 |
| 社長 | えっ、安くなってても100円か…。 |
| 投資家 | この場合は、本来8,000円で済むところを10,000円払うから、2,000円分の不利になる。 |
| 社長 | なるほど…上がっても下がっても、結果は固定されるんだな。 |
| 経理 | はい。先物取引は将来の価格変動リスクを消す代わりに、価格を固定する取引です。 |
| 社長 | 為替予約と似てる気がしてきたぞ🐾 |
| 経理 | まさに同じ考え方です。先物取引もデリバティブ取引なので、時価が変動します。 |
| 投資家 | 実際の決済では、現物を受け取らずに、契約価格と決済時価格の差額だけを調整(差金決済)することも多い。 |
| 社長 | じゃあ、会計上も評価するのか? |
| 経理 | はい。先物取引も原則として期末ごとに時価評価して損益を認識します。 |
| 社長 | なるほど…。為替予約、先物取引、どっちも「将来の価格を今決める」デリバティブなんだな。 |
| 投資家 | その理解で完璧だ。 |
| 社長 | 柴犬経理部、だんだんデリバティブが怖くなくなってきたぞ🐾 |
オプション取引 ― 買ってもいい「権利」
| 社長 | でも白柴くん、さっきの先物取引って、将来必ず買わないといけないのがちょっと怖いな🐾 |
| 経理 | その不安があるなら、オプション取引が向いています。先物が「義務」なのに対して、オプションは「買ってもいい権利」を取引するからです。 |
| 投資家 | つまり、有利なら使うし、不利ならやめられるデリバティブ取引だな。 |
| 経理 | たとえば4月1日に、3か月後(7月1日)に1袋100円で100袋買ってもいい権利を購入します。 |
| 社長 | その権利はタダじゃないよな? |
| 経理 | はい。分かりやすく、1袋10円のオプション料とすると、10円×100袋=1,000円を最初に支払います。 |
| 社長 | 先に1,000円払って、その後はどうなる? |
| 経理 | 7月1日に相場が1袋120円なら、100円で買う権利を行使し、1袋20円×100袋=2,000円の有利が生じ、オプション料を差し引いて純利益は1,000円になります。 |
| 投資家 | 逆に、相場が1袋80円なら、その権利は使わず市場で仕入れるから、損失は最初に払った1,000円だけで済む。 |
| 社長 | なるほど、不利なときは逃げられて、損失も限定されるわけか。 |
| 経理 | そのとおりです。オプション取引は、価格上昇のリスクだけを避けたい場合に使う保険のようなデリバティブ取引です。 |
| 社長 | 先物は価格を固定、オプションは保険、って整理すると分かりやすいな🐾 |
金利スワップ ― 利息のドキドキを入れ替える!
| 社長 | 白柴くん、ドッグフード工場を拡張するために、銀行から1億円借りられたぞ! |
| 経理 | すごいですね社長!よくそんなに借りられましたね! |
| 社長 | 俺の会社は信用があるからな★ |
| 経理 | ところで社長、この借入金の金利は変動金利(年3.5%)ですよね。将来金利が上がると、利息も増えてしまいますね。 |
| 社長 | そうなんだよな…。利息が増えると、ドッグフードの味を落とさなきゃいけなくなるかも…。 |
| 経理 | それは大変です!では、「金利スワップ」を使いましょう! |
| 社長 | スワップ? 交換ってことか? 何を交換するんだ? |
| 経理 | 金利だけを交換する契約です。これも金利を原資産としたデリバティブ取引何ですよ! |
| 投資家 | うむ。たとえば、銀行とは別の金融機関と、社長の会社が「固定金利3%を支払って、変動金利を受け取る」というスワップ契約を結ぶような感じだ。 |
| 社長 | でも、銀行には変動金利で払ってるんだろ? |
| 経理 | そうです。なので、スワップ相手から同じ変動金利を受け取る契約を結べば、その変動金利の受取分と銀行への変動金利の支払分とが相殺されて、実質的に固定金利3%の支払いだけが残るんです。 |
| 社長 | なるほど!それなら、金利が上がっても利息は増えないってことか! |
| 経理 | そのとおりです。たとえば、今年の利息はこうなります:借入金の利息:100,000 × 3.5% = 3,500千円、スワップ取引による受取差額:(受取3.5% − 支払3.0%)× 100,000 = 500千円の受取 |
| 社長 | じゃあ、実質の利息は 3,500 − 500 = 3,000千円ですむってことか! |
| 投資家 | つまり、実質的に固定3%で借りてるのと同じってわけだな。 |
| 社長 | でも、スワップ取引って価値も変わるんだろ? |
| 経理 | はい。スワップ取引はデリバティブ取引なので、時価評価が必要です。たとえば、決算時にスワップの時価が1,000千円の上がったら、金利スワップ損益 1,000を計上します。 |
| 社長 | 利息は安定するけど、スワップの価値で損益が動くのか…。 |
| 経理 | スワップの価値は将来の金利予想で変わるので、時価評価で損益が出るんです。 |
| 社長 | ふむふむ…。でも、金利のリスクを減らせるなら、やってみる価値はあるな! |
| 経理 | その通りです。金利スワップは、将来の金利を予測して戦略的に使う道具なんです。 |
| 社長 | よーし、これで利息のドキドキとはおさらばだ!柴犬経理部、今日も勉強になったぞ🐾 |
🧾 仕訳まとめ(単位:千円)
| タイミング | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 内容 |
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| 借入時 | 現金預金 | 100,000 | 借入金 | 100,000 | 借入実行 |
| 利息支払 | 支払利息 | 3,500 | 現金預金 | 3,500 | 借入金利(3.5%) |
| スワップ差額受取 | 現金預金 | 500 | 支払利息 | 500 | スワップ差額(受取) |
| 決算時評価 | 金利スワップ | 1,000 | 金利スワップ損益 | 1,000 | スワップの時価評価益(原則処理) |