目次
取引時と決済時 ― 円で考えるとズレる理由
| 社長 | よっしゃー!海外からドル建てで仕入れたぞ!10ドル?まあ10ドル×100円で1,000円ってことでいいよな😆 |
| 経理 | ちょ、ちょっと待ってください社長💦 その考え方、外貨建取引では要注意です。 |
| 社長 | え?だって円で帳簿つけるんだから、円に直せばいいんだろ? |
| 経理 | 直すのは正しいですが、いつの為替相場で直すかが重要なんです。 |
| 投資家 | 外貨建取引は、決済が外貨で行われる取引だ。ここを外すと全部ズレる。 |
| 社長 | 決済が外貨…? |
| 経理 | はい。だから会計処理では、①取引発生時、②決算時、③決済時と、最大で3回換算が登場します。 |
| 社長 | そんなに!?頭こんがらがるぞ😢 |
| 経理 | まず基本だけ押さえましょう。取引発生時は、その日の為替相場(HR)で換算します。 |
| 社長 | じゃあ、仕入れた日のレートを使うってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。しかも、費用や収益を直接換算するわけじゃありません。 |
| 社長 | え?どういうこと? |
| 経理 | 例えば仕入なら、「外貨でいくら払うか」を円に直して、それを仕入額にします。 |
| 投資家 | 売上も同じだ。「外貨でいくら受け取るか」が基準になる。 |
| 社長 | なるほど…ドルが主役で、円は翻訳みたいなもんか。 |
| 経理 | いい例えですね😊 そして次がややこしいポイントです。 |
| 社長 | まだあるのか!? |
| 経理 | はい。決済時には、帳簿の金額と実際に払う円の金額がズレます。 |
| 社長 | 為替が動くからか💦 |
| 経理 | そうです。このズレが為替差損益です。 |
| 投資家 | 帳簿は発生時レート、現実は決済時レート。その差が損か益になる。 |
| 社長 | 得したら為替差益、損したら為替差損ってやつだな。 |
| 経理 | 表示上は、帳簿では「為替差損益」でまとめるのが原則です。 |
| 投資家 | 企業の意思と無関係な変動だから、純額で見るのが合理的だ。 |
| 社長 | なるほど…外貨建取引って、円だけ見てると本質を見失うんだな😮 |
| 経理 | その理解があれば完璧です。まずは「発生時HR、決済時に差額」をしっかり押さえましょう。 |
図解イメージ
外貨建取引の流れ
取引発生時(HR) → 帳簿に円換算で記帳
↓
(決算があれば換算)
↓
決済時(決済レート) → 実際の円支払・受取
↓
差額= 為替差損益
決算時 ― 期末にもう一度、見直す理由
貨幣項目と非貨幣項目
| 社長 | おっ、白柴くん!決算になったぞ!この前のドル建て売掛金、まだ回収してないけど、そのままでいいよな? |
| 経理 | いえ社長💦 決算日をまたいで未決済の外貨建項目がある場合は、換算替が必要です。 |
| 社長 | 換算替?もう円に直してあるじゃないか😅 |
| 経理 | それは取引発生時(HR)の話です。決算では、決算日の為替相場(CR)で、もう一度見直します。 |
| 投資家 | 将来、外貨で決済される以上、決算時点の価値に直すのは当然だ。 |
| 社長 | つまり、決算日に「今いくら相当か」をチェックするってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。これを決算時の換算替といいます。 |
| 社長 | じゃあ、外貨建項目は全部換算替するのか? |
| 経理 | いいえ。換算替するものと、しないものがあります。 |
| 投資家 | キーワードは「貨幣項目」か「非貨幣項目」か、だ。 |
| 社長 | 具体的には? |
| 経理 | 現金預金、売掛金、買掛金などの金銭債権債務は貨幣項目なので、決算時にCRで換算替します。 |
| 経理 | 一方、棚卸資産や固定資産などの非貨幣項目は換算替しません。 |
| 社長 | なるほど…お金のやり取りが残ってるかどうか、だな。 |
| 投資家 | 非貨幣項目は、取引時の価額(HR)で固定されているからだ。 |
| 社長 | 換算替すると、差額が出るよな? |
| 経理 | はい。その差額が為替差損益になります。 |
| 社長 | 円安・円高って、ここで効いてくるのか😮 |
| 経理 | そのとおりです。資産が増えれば為替差益、負債が増えれば為替差損です。 |
| 投資家 | 迷ったら、「増えたか、減ったか」で考えろ。 |
| 社長 | よし!決算時は「貨幣か?非貨幣か?」が最初の分かれ道だな😆 |
| 経理 | はい、そこを押さえれば大丈夫です! |
経過勘定項目 ― 換算替する?しない?
| 社長 | そういえばさ、前渡金とか前受金のドル建ても、あったよな。あれなんかも換算替するのか? |
| 経理 | そこはしません。前渡金・前受金は、非貨幣項目です。 |
| 社長 | えっ? でも外貨で払ってるよな? |
| 経理 | はい。でも、すでに入出金が終わっている、または将来入出金がない項目だからです。 |
| 投資家 | お金のやり取りが、もう残っていない。だから換算替しない。 |
| 社長 | なるほど…じゃあHR換算のまま据え置きか。 |
| 経理 | そのとおりです。決算でもHR換算のままです。前払費用や前受収益も同じで、すでに入出金が終わっている項目ですから、非貨幣項目としてHR換算のまま扱います。 |
| 社長 | おぉ、経過勘定項目だな! 残りの、未収収益や未払費用はどうなるんだ? |
| 経理 | そこは少し性質が違います。 |
| 社長 | 何が違うんだ? |
| 経理 | 未収収益・未払費用は、決算で新たに発生する項目です。 |
| 投資家 | つまり、取引発生時の為替相場が存在しない。 |
| 社長 | ということは? |
| 経理 | 決算時の為替相場(CR)が、そのまま取引発生時の相場になります。 |
| 社長 | 最初からCRで円換算するわけか。 |
| 経理 | はい。そのため、結果的にCRで計上されます。 |
| 投資家 | 換算替というより、「初回換算」だな。 |
| 社長 | だいぶ整理できたぞ。まとめると… |
| 経理 | ① 前渡金・前受金・前払費用・前受収益 → 非貨幣項目・換算替なし(HR)② 未収収益・未払費用 → 決算時にCRで計上 |
| 社長 | 経過勘定は、一見ややこしいけど、理屈は単純だな😆 |
| 投資家 | 「将来、外貨で決済されるか?」それだけ考えろ。 |
| 経理 | その視点があれば、外貨建取引はもう怖くありません。 |
外貨建有価証券(満期保有目的の債券以外) ― 価格と為替、どっちも見る
| 社長 | おおっ!海外企業の株とドル建て社債を買ったぞ!これでグローバル企業だ😆 |
| 経理 | 社長、それは外貨建有価証券ですね。取得時と決算時で、考えることが少し増えます💦 |
| 社長 | え、また増えるのか…円に直せば終わりじゃないの? |
| 経理 | まず取得時はシンプルです。外貨ベースの取得原価を、取引時の為替相場(HR)で換算します。 |
| 投資家 | 株式でも社債でも同じだ。取得原価=外貨取得原価×HR。 |
| 社長 | そこまでは分かるぞ。でも決算時がややこしそうだな😅 |
| 経理 | はい。外貨建有価証券の評価は「二つの軸」で考えます。 |
| 社長 | 二つの軸? |
| 経理 | ①原価か時価か(または償却原価か)、②**どの為替相場を使うか(HR・CR・AR)**です。 |
| 投資家 | 値段の問題と、為替の問題をごちゃ混ぜにするなということだ。 |
| 社長 | なるほど、まず切り分けるわけだな。 |
| 経理 | では代表例からいきましょう。「外貨建売買目的有価証券」です。 |
| 社長 | 短期で売るつもりのやつだな。 |
| 経理 | これは決算時に、外貨ベースの時価をCRで換算して評価します。 |
| 投資家 | だから、価格変動+為替変動、両方まとめて損益に出る。だから、科目は「有価証券評価損益」だ。 |
| 社長 | ほ~、時価の評価差額と換算換えをまとめて損益にするんだな😮 |
| 経理 | そのとおりです。次は「外貨建その他有価証券」です。 |
| 社長 | これは長めに持つやつだな。 |
| 経理 | はい。評価額の求め方は同じで、外貨ベースの時価をCR換算します。 |
| 投資家 | ただし違うのは、損益に出さず、純資産に直入する点だ。 |
| 社長 | あっ、その他有価証券評価差額金ってやつか💡 |
| 経理 | そうです。しかも税効果会計の対象になるのが原則です。 |
| 社長 | じゃあ、非上場の外貨建その他有価証券はどうなる? |
| 経理 | 市場価格がないので、外貨取得原価のままですが… |
| 投資家 | 為替だけは逃げられない。CRで換算する。 |
| 経理 | その結果生じた差額は、為替差損益ではなく評価差額として処理します。 |
| 社長 | 見た目は為替差なのに、扱いは評価差額なんだな😵 |
| 投資家 | 金融商品会計基準に従うからだ。そこは割り切れ。 |
| 経理 | 関係会社株式も確認しておきましょう。関係会社株式は、外貨建でも原則は取得原価のままです。減損がない限り、評価替えはしません。 |
| 投資家 | 長期支配目的だから、時価評価しない。それだけだ。 |
| 社長 | よし!外貨建有価証券は、取得はHR、評価は保有目的別、為替はCR中心だな😆 |
| 経理 | 完璧です社長! |
図解イメージ
【評価の二重構造】
① 価格の評価
原価/時価/償却原価?
② 為替の適用
HR(取得時)
CR(決算時)
AR(決済時)
→ 保有目的ごとに組み合わせて判断
外貨建有価証券(満期保有目的の債券) ― 償却と為替、さらには減損
| 社長 | そういえば、有価証券は、満期保有目的の債券もあるよな。外貨建ての場合はどうなるんだ? |
| 経理 | はい。満期保有目的の債券は少し注意点が多いので、後に回しいました。 |
| 社長 | えっ、時価評価しないんだから簡単じゃないの? |
| 経理 | たしかに原則は時価評価しません。でも、問題はそこじゃありません。 |
| 投資家 | 債券は金銭債権=貨幣項目だ。そこを忘れるな。 |
| 社長 | あっ…ということは? |
| 経理 | 決算時には必ずCRで換算します。 |
| 社長 | ええっ、時価評価しないのに金額は変わるのか😮 |
| 経理 | はい。評価はしないけど、換算替はするんです。 |
| 投資家 | その結果生じる差額は、評価損益ではなく為替差損益だ。 |
| 社長 | なるほど…まずはそれだな。じゃあ次は? |
| 経理 | 次に考えるのが、償却原価法を使うかどうかです。 |
| 社長 | 使わない場合は? |
| 経理 | 外貨ベースの取得原価を、そのままCR換算します。差額は為替差損益です。 |
| 社長 | じゃあ償却原価法を使う場合は、さらにややこしいな😢 |
| 経理 | そうですね。でも整理すれば大丈夫です。 |
| 投資家 | まずは外貨ベースで考えろ。そこが鉄則だ。 |
| 経理 | ① 外貨ベースで償却額を計算します(定額法)。 |
| 経理 | ② その外貨償却額をARで換算して、円ベースの償却額にします。 |
| 社長 | なんでARなんだ? |
| 経理 | 償却額は、一定期間の利息配分額だからです。その期間の平均相場を使います。 |
| 投資家 | そして最後だ。 |
| 経理 | ③ 外貨ベースの償却原価をCRで換算して、期末評価額を出します。 |
| 社長 | うわ…HR・AR・CRが総動員だな💦 |
| 経理 | そうです。その結果、帳簿価額との差額が為替差損益になります。 |
| 社長 | 2年目以降も同じ? |
| 経理 | 基本は同じですが、前期末の評価額がスタート地点になります。 |
| 投資家 | 前期のCRが、次期の計算に顔を出すこともある。油断するな。 |
| 社長 | よし…だいぶ分かってきたぞ。後は、何か重要なことはあるのか? |
| 経理 | はい。外貨建有価証券の減損処理も重要です。 |
| 社長 | 円安で下がったら減損? |
| 経理 | いいえ。そこは間違えやすい点です⚠️ |
| 投資家 | 著しい下落かどうかの判定は、外貨ベースで比較する。為替は関係ない。 |
| 経理 | 外貨ベースの取得原価と、外貨ベースの時価(または実質価額)で判断します。 |
| 社長 | なるほど、為替のせいで下がったように見えてもダメなんだな。 |
| 経理 | そして、減損すると決めた後に初めて、評価額をCRで換算します。 |
| 投資家 | 判定は外貨、計上は円。それがルールだ。 |
| 社長 | まとめると… |
| 社長 | 満期保有は時価評価なし/でもCR換算あり/償却はAR/減損判定は外貨ベースだな😆 |
| 経理 | 完璧です社長!外貨建有価証券は、満期保有目的の債券が一番の山場です! |
図解イメージ
【決算時の考え方】
① 時価評価?
→ しない(原則)
② 換算替?
→ する(貨幣項目 → CR)
③ 償却原価法?
→ 外貨で償却額計算
↓
ARで換算(償却額)
↓
CRで換算(期末評価額)
④ 減損判定?
→ 外貨ベースで判定
→ 計上額はCR換算
外貨建転換社債新株予約権付社債 ― 為替レート?転換レート?どっちで計算? ―
| 社長 | よーし!今回は外貨建転換社債型新株予約権付社債を発行だ!名前は長いけど、要するにドルで借金したってことだよな😎 |
| 経理 | はい社長。発行時点では完全に外貨建の社債、つまり借金です。 |
| 社長 | 株っぽい名前なのに、まずは借金扱いか~💦 |
| 投資家 | そこを勘違いすると終わりだ。転換されるまでは負債、これは絶対。 |
| 経理 | 発行時は1ドル=120円なので、社債120,000円を計上します。 |
| 社長 | じゃあ決算では? |
| 経理 | 決算時は1ドル=130円なので、外貨建負債としてCR換算します。その結果、為替差損が出ます。 |
| 社長 | 借金が勝手に増えるの、地味につらいな😢 |
| 投資家 | 外貨建負債の宿命だな。 |
| 経理 | さて、ここからが本題です。×2年10月1日に20%が権利行使されました。 |
| 社長 | ついに株に変わる瞬間だ!じゃあ、その日の為替レート135円で計算して… |
| 経理 | ちょっと待ってください社長⚠️ ここで重要な設定があります。 |
| 社長 | え、まだ何かあるの? |
| 経理 | はい。この社債は外貨建なので、あらかじめ「転換レート」が決められています。 |
| 社長 | 転換レート? 為替レートと違うのか? |
| 経理 | 違います。転換レートとは「株数を計算するための固定レート」です。今回は1ドル=150円と定められています。 |
| 投資家 | 為替相場が動いても、株の計算だけはこの固定レートを使う。投資家保護のためだな。 |
| 社長 | なるほど…じゃあ、どこで135円を使うんだ? |
| 経理 | まずは社債の返済額です。200ドル分の社債は、行使日の為替相場135円で評価します。 |
| 社長 | 前期末は130円だったよな? |
| 経理 | はい。帳簿価額は26,000円ですが、返済時の価値は27,000円。ここで為替差損1,000円が出ます。 |
| 投資家 | 借金を返す瞬間まで、為替差損益は逃げない。 |
| 経理 | 次に株式の発行です。ここからが転換レートの出番です。 |
| 社長 | いよいよ来たな! |
| 経理 | 200ドル×転換レート150円=30,000円分を株式で交付します。 |
| 社長 | でも実際に返した借金は27,000円だよな? |
| 経理 | はい。その差は損益ではなく資本取引です。 |
| 投資家 | ここが試験で狙われるところだ。 |
| 経理 | 転換価格は50円なので、30,000÷50=600株発行します。 |
| 社長 | 株数は135円じゃなくて150円基準…完全に別物だな💦 |
| 経理 | そのとおりです。さらに1株40円を資本金とするので、資本金24,000円、資本準備金3,000円になります。 |
| 投資家 | 整理するとこうだ。①社債の消滅=為替相場②株数の計算=転換レート③差額=資本 |
| 社長 | なるほど~!転換レートは突然出てくるんじゃなくて、最初から仕込まれてた設定なんだな! |
| 経理 | はい。外貨建の場合、為替レートと転換レートは必ず切り分けて考える必要があります。 |
| 投資家 | ここを押さえていれば、この論点は怖くない。 |
| 時点 | 取引内容 | 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) |
|---|
| ×1.4.1 | 社債発行(HR=120円) | 現金預金 | 120,000 | 社債 | 120,000 |
| ×2.3.31 | 決算時の為替換算(CR=130円) | 為替差損益 | 10,000 | 社債 | 10,000 |
| ×2.10.1 | 権利行使時の為替差損(200ドル分、HR=135円) | 為替差損益 | 1,000 | 社債 | 1,000 |
| ×2.10.1 | 社債の消滅と新株発行(600株) | 社債 | 27,000 | 資本金 | 24,000 |
| | | | 資本準備金 | 3,000 |
「外貨建取引」の本試験ポイント
外貨建金銭債権債務
- 外貨建ての仕入れや売上げにおいて、前渡金または前受金がある場合は、一気に仕入れや売上げを換算替えしてはいけません。前渡金や前受金はHR換算のままです。
外貨建有価証券
- 減損の判定は、外貨ベースで判断します。円に換算替えした額ではありません。
- 償却原価法を適用する場合は、外貨ベースで償却額を算定し、外貨償却額に期中平均相場(AR)を掛けて円換算します。
- 償却原価法を適用した場合、有価証券利息には償却額だけでなく、クーポン利息を取引時点の直物為替相場(SR)で換算した金額も含める点に注意しましょう。
- その他有価証券で時価のない場合でも、期末評価は「取得原価×決算日レート」で評価差額が計上されます。
表示科目
- 為替差損益は、売買目的有価証券に係る損益と同様に、相殺したうえで、「為替差益」または「為替差損」の純額で表示します。