【シバ犬🐾簿記論】一般商品売買❸(仕入諸掛・他勘定振替高)

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仕入諸掛 - 原価算入と表示の肝

社長よし、今期は仕入を増やして攻めるぞ!でも、仕入にかかるいろんな費用ってどう処理するんだ?💦
経理社長、大前提は仕入諸掛は原則として商品の取得原価に算入することです。
社長へぇ、全部コストに入れちゃうのか。じゃあ帳簿ではどう付けるの? 三分法って聞いたけど。
経理財務諸表論では三分法を前提に考えます。期中の処理は大きく二通りあります:①仕入原価に直接加える方法、②別建(間接加算)で処理して決算で組替える方法、です。
投資家試験や実務で重要なのは表示だ。帳簿仕訳と表示が一致しないことはよくある。表示に合わせて組替えするのが肝だ。
社長組替えって何だっけ?😅
経理帳簿上の複数科目を表示科目にまとめる操作です。例えば「仕入」を当期商品仕入高に組替えたり、繰越商品を期末商品棚卸高/商品に組替えたりします。
投資家そのとおり。期中は前T/Bの帳簿処理をしておき、決算で表示方法に合わせて修正する。
社長期首・期末にかかる仕入諸掛はどうするの? 繰延仕入諸掛って聞いたことあるけど。
経理財務諸表論では期首商品・期末商品に係る仕入諸掛は商品の原価に直接含めるのが原則です。簿記論のように「繰延仕入諸掛」として別建てにしない点に注意してください。
投資家期中だけ別建処理しているケースも多い。だが期末表示は商品に含めるのが常識だ。
社長表示ってP/LとB/Sでどう見えるんだ?
経理P/Lでは当期商品仕入高に含めて売上原価を算定します。B/Sでは期末の棚卸資産が商品として流動資産に表示されます。帳簿上は細かくても、表示上はまとめて見せるのがポイントです。
投資家さらに注記も忘れるな。棚卸資産の会計方針(原価法)や簿価切下げの取扱いは注記で開示する必要がある。
社長簿価切下げって低価法のこと?
経理会計上は原価法が基本で、正味売却価額が原価より低い場合の簿価切下げは原価法の範疇として扱います。今日の会計基準では通常の販売目的の棚卸資産に時価法や低価法は認められていません。
投資家税務と会計の用語は混同しやすい。税法上は低価法が残っているが、会計上は原価法+必要なら簿価切下げで説明するのが正しい。
社長なるほど、要は原価算入→期中は帳簿処理→決算で表示に合わせて組替え→注記で方針開示って流れか。覚えやすい!🐾

図解(簡易フロー)

  • 仕入発生 → 原価算入(原則)
  • 期中処理:直接加算 or 別建(間接加算)
  • 決算:別建は組替えして当期商品仕入高等へ振替
  • 表示:P/Lは当期商品仕入高/売上原価、B/Sは商品(棚卸資産)
  • 注記:会計方針(原価法)・簿価切下げの取扱いを開示

他勘定振替高 -「本当に仕入れた額」を見せるための表示上の工夫

社長白柴くん、今期の売上は1,800万円、仕入は700万円だね。だけど、仕入れってもっとなかったっけ?
経理社長、それがですね……実はこの仕入、700万円に見えてるだけなんです。
社長え?帳簿に700って書いてあるのに、実際は違うの?
経理はい。期中に仕入れた商品の一部を、見本品に使ったり、火災で焼失した分があるんですよ。それを処理した結果、帳簿上は700万円になってるんです。
社長なるほど。じゃあ実際はもっと仕入れてたってこと?
経理 はい。決算整理前の試算表はこんな感じです。

決算整理前残高試算表(前T/B)

勘定科目借方貸方
売上1,800
繰越商品150
仕入700
見本品費 40
その他販管費360
火災損失 50

📌 期末商品棚卸高:250万円
📌 期中に見本品として40万円分使用(見本品費で処理済)
📌 期中に火災で商品50万円分焼失(火災損失で処理済)

社長ってことは、本当は700+40+50=790万円分も仕入れてたってことか。
経理 そうです!でも帳簿上だと仕入が700万円しか残っていません。これだと購買部の実績が少なく見えてしまうんですね。
投資家そこで「他勘定振替高」が出てくるんだな。

商品BOXで考えよう!

左(借方)金額(万円)右(貸方)金額(万円)
期首商品150売上原価150+790−250−90=600
仕入(実際の総額)790他勘定振替高(見本品費40+火災損失50) 90
期末商品250

🟩 計算式
売上原価 = 期首150 + 仕入790 − 他勘定振替高90 − 期末250 = 600

社長おお~!「他勘定振替高90」を表示することで、購買部が実際に仕入れた790がちゃんと見えるようになったぞ!
経理そうなんです。これが「他勘定振替高」の役割です。表示上、実際の仕入活動を正しく伝えるためのものなんです。
社長なるほど、新たに仕訳を切るわけじゃなくて、損益計算書の見せ方なんだな。
経理 そのとおりです! 他勘定振替高はあくまで“表示の工夫”。計算自体には影響しません。

損益計算書(P/L)

区分金額(万円)
売上高1,800
売上原価 600
原価内訳:期首商品棚卸高 150
原価内訳:当期商品仕入高 790
原価内訳:他勘定振替高 90
原価内訳:期末商品棚卸高 250
営業利益1,200
販管費(見本品費40含む) 400
営業利益 800
火災損失(特別損失) 50
当期純利益 750
社長つまり、他勘定振替高がなくても利益は同じだけど、「購買部は本当は790仕入れてたんだよ」って伝えるために表示するわけか。
経理バッチリです!これを理解しておけば、他勘定振替高は怖くありません。
社長 よし!購買部にも「ちゃんと頑張ってるように見える決算書」を出してやろうじゃないか🐾!

要点まとめ

  • 「他勘定振替高」は、仕訳を切る項目ではなく、損益計算書の表示上の工夫
  • 目的は「購買部が実際に仕入れた総額(振替前)」を明示すること。
  • 利益の金額には影響しないが、経営実態の見せ方として重要な論点。

「一般商品売買❸」の本試験ポイント

仕入諸掛

他勘定振替高

  • 前T/Bですでに「見本品費」が計上されているかを確認します。計上されている場合は、その分がすでに仕入高から減算されていますので、P/Lの「当期商品仕入高」に、そのまますぐに仕入の金額を転記しないようにしましょう。
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