【シバ犬🐾簿記論】リース取引

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ファイナンス・リース取引の判定 ― ファイナンスになる2つの基準

社長うーん、あの新しいドッグラン用芝刈り機のリース、結局「借りてるだけ」なのか?それとも「買ってる」のか?イマイチ分かんないんだよな~。
経理社長、それを見分けるのが「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の判定なんですよ!
投資家要するに、実質的に「うちの会社の資産」とみなすかどうかだな。そうならファイナンス・リース、そうでなければオペレーティング・リースだ。
社長実質的に同じって、どういう基準で見るんだ?数字で頼む!
経理はい!これには、2つの判定基準があります。① 割引現在価値基準② 経済的耐用年数基準
社長なんか難しそうだね。具体的にはどう判定するんだ?
経理まず、割引現在価値基準ですが、これはリース料の現在価値が、見積現金購入価額の90%以上なら「実質的に所有」とみなします。あの芝刈り機の場合、リース料の割引現在価値が40,500円で、見積現金購入価額が40,000円でした。40,500円 ÷ 40,000円 = 101.3%これは90%以上なので、この基準は満たしています!
社長ほう!じゃあもうファイナンス・リースなのか?
経理もう一つの経済的耐用年数基準も見てみましょう。これは、リース期間が耐用年数の75%以上なら「実質的に所有」と考えます。芝刈り機のリース期間は5年、経済的耐用年数は8年です。5年 ÷ 8年 = 62.5%これは75%に満たないので、この基準は満たしていませんね。
社長なるほど~!じゃあ、どっちも満たさないとダメなのか?
経理いいえ、どちらか一方を満たせばファイナンス・リース取引に該当します!
投資家逆に、どっちも満たさなければオペレーティング・リースだな。帳簿に載せなくていいやつだ。今回は現在価値基準を満たしたから、ファイナンス・リース確定だな!
社長 おー!そうだったのか!これでスッキリしたぞ!

💡まとめ

  • ファイナンス・リース取引とは、実質的に“購入と同じ”経済効果を持つリース。
  • 次のいずれかを満たせば該当:
     ① 割引現在価値 ≧ 見積現金購入価額 × 90%
     ② リース期間 ≧ 経済的耐用年数 × 75%
  • どちらも満たさなければ オペレーティング・リース取引

リース料の中の維持管理費 - 全部“資産計上”じゃないの!?

社長白柴くん、例の機械をリースしたんだけど、年額 100万円 のリース料なんだって!でも、この中にいろいろ混ざってるらしいんだよね?💦
経理そうなんです社長。リース料のうち 10万円 は、固定資産税や保険料などの 維持管理費用相当額なんです。
社長えっ、じゃあ100万円全部をリース資産に計上すれのはまずいのか?
経理はい、そこは注意です!リース資産に含めるのは、“機械を使う権利の対価”の部分だけです。つまり、100万円 − 10万円 = 90万円 をベースに資産と負債を計算します。
投資家維持管理費は、資産の取得とは無関係。だから除くのが筋だな。そのとおり。
社長なるほど〜。じゃあ現在価値の計算も 90万円だけでやるのか? 
経理そのとおりです!たとえば割引率5%で5年リースなら、90万円の現在価値がリース資産とリース債務になります。
社長じゃあ、10万円の維持管理費ってどう処理するの?
経理はい、リース料を支払うたびに、10万円は費用として処理します。資産計上はしません。
投資家2つを混ぜると、資産も負債も過大計上になるからな。財務諸表がゆがむぞ。
社長ひぇ〜💦 そんなワナがあるんだな…。
経理リースは意外と中身の分解が大事なんです。使う権利と維持管理費をしっかり区別します。
社長今日もスッキリしたぞ!うちの決算、どんどんクリアになってくるな🐾

💡まとめ

支払リース料(年額)100万円
├─➊ リース資産の対価 90万円 → 資産計上&現在価値の対象
└─➋ 維持管理費相当額 10万円 → 毎年の費用処理

残価保証のあるリース取引 ―「残価保証」は見えない債務

残価保証とファイナンス・リース取引の判定

社長白柴くん、新しい大型トラックをリース契約したぞ!これで運送もスムーズになって、売上1.5倍だ!
経理 新車ですね、社長!そして、今回のリース契約、リース期間終了時に、車の処分価額が200万円に満たなかったら、その不足分を当社が支払うという「残価保証」が付いていますね。
社長それな!でも、保証額だし、リース料に含めなくてもいいんじゃないか?
経理いえ、会計上は、この残価保証額も「将来の支払い義務」とみなします。そのため、ファイナンス・リースに該当するかどうかを判定する際、この200万円をリース料総額に加えて計算するんですよ。
投資家「支払い義務」があるなら、それは実質的にリース料の一部と同じ。当然、判定の計算に含める。
経理そのとおりです。残価保証を含めて計算することで、フルペイアウトの要件を満たし、今回の取引は、移転条項等がないので、所有権移転外ファイナンスリース取引として処理されます。
社長なるほど!ただの保証じゃなくて、「見えない支払い」として計算されるんだな💦

リース資産・リース債務の計上額と減価償却

経理それでは、リース資産とリース債務の計上額を計算します。ここでは、残価保証額200万円をリース料総額に含めて、現在価値の計算をします。
社長計算方法まで変わるのか!ややこしいな。
投資家残価保証があることで、貸手(リース会社)側の実質利回りが変わる。だから、借手側もそれを含めた率で計算するんだ。
経理次に、減価償却です。ここは注意です。所有権移転外の場合は基本的に残存価額はゼロで計算しますが、残価保証がある場合は、この残価保証額200万円残存価額として取り扱います。
社長え、残存価額? リース期間が終わったときに、資産の帳簿価格が200万円残すってことか?
経理そのとおりです。例えば、リース資産計上額が1,500万円、リース期間が4年だとすると…(1,500-200)を4年でわって、325万円ずつが減価償却費ですね。
社長へぇ!保証額がそのまま減価償却の計算にも影響するのか!すべてが繋がっているんだな。

リース終了時の清算

社長4年間のリース期間が終わったぞ!車両を返却だ!処分価額はいくらだったんだ?
経理処分価額は150万円でした。しかし、残価保証額は200万円でしたので…
社長あ!50万円足りない!その不足分を、当社が貸手(リース会社)に支払う義務が発生するんだな😢
経理はい。この不足分の50万円は、リース期間終了時の清算時に「リース資産売却損」として費用計上されます。同時に、貸手への「未払金」として負債を計上します。
投資家処分価額の不足分は、損失としてP/L(損益計算書)に影響を与える。残価保証は、BS(貸借対照表)だけでなく、最後にP/Lにも影響を及ぼす点に注意だ。
社長そうか!最後は費用になるのか。残価保証がある所有権移転外ファイナンスリース取引は、最後まで気を抜けないってことだな!よし、次からは残価保証額が妥当か厳しくチェックするぞ!
契約時リース資産     ××リース債務     ××残価保証額をリース料総額に含めて、現在価値の算定を行う
リース料支払時リース債務     ×× 支払利息      ××現金預金      ××基本形と同じ
決算時減価償却費     ××減価償却累計額   ××残価保証額を残存価額として計算する
リース資産返却及び
処分価額確定時
減価償却累計額   ×× リース債務     ×× リース資産売却損  ××リース資産     ×× 未払金       ××  リース物件の処分価額(問題文にあり)と残価保証額との差額をリース資産売却損として計上

💡まとめ

  • リース資産の計上価額の算定に際し、残価保証額をリース料総額に含めて、現在価値の計算をする。
  • 残価保証額を残存価額として計算をする(所有権移転外であっても同様)。
  • リース物件の処分価額と残価保証額との差額をリース資産売却損として計上する。

セール・アンド・リースバック取引 ― 和菓子屋の“売って残す”錬金術

社長白柴くん、困ったぞ。店舗の改装費が思ったよりかかって、現金が底をついた…💦
経理えっ、大丈夫ですか? 銀行に追加融資お願いしましたか?
社長したけどダメだった。もう「甘い話には乗れません」って断られたよ。和菓子屋なのに…😞
経理ダジャレ言ってる場合じゃないですよ!改装しないと集客も落ちますし。
社長大丈夫!知り合いの社長からいい話を聞いた。うちの“餡練り機”を一度売って現金を作るんだ。
経理え? そんな大事な機械、売ったら柴まんじゅう作れませんよ!
社長すぐにリースで借り直すの。つまり“売って借りる”!
投資家もしかして、セール・アンド・リースバックか?
社長そう!俺もきいてびっくり!これで改装資金を確保するんだ✨
経理なるほど、セール・アンド・リースバックですね。実際に機械を動かす必要はないんですよね? 書類上で売って、使い続けるだけで。
社長そうみたいね。実態は変わらないけど、キャッシュだけ入る。和菓子屋の新しい味だな!

 数か月後の決算時…

経理社長、餡練り機、帳簿価額1,000万円だったのが、1,100万円で売れました!
社長おおっ、100万円の利益!やっぱりこのスキームすごい!
投資家だが、すぐに1,100万円で5年リース契約を結んだんだよな?
経理はい。だから今はリース資産として再計上中です。償却費は年間220万円。でも、もともとは1,000万円÷5年=200万円だったので、毎年20万円償却費が増えてます。
社長え? 実態は同じ機械なのに、費用が増えるのか? それおかしくない? しかも、売却益100万円は今年だけ計上されている。来年以降は費用ばかり増える…。
経理そうなんです。私も調べたんですが、つまり今年は+80万円、来年以降4年間は−20万円ずつ。損益の期ズレが起きてます。
社長なるほど…。おまんじゅうの皮と餡がバラバラになってるようなもんか😋
経理例えが独特ですが、そうです。だから、売却益を5年に分けて繰り延べるのが適正です。
投資家その繰延分を「長期前受収益」にすれば、5年間で自然に利益化できるな。
社長よし、実態に合わせた“あんこ会計”だな!バランスが大事!
経理…甘い言葉に聞こえるけど、ちゃんと理屈は合ってます。
投資家結論:和菓子屋も会計の味付け次第。

💡まとめ

  • セール・アンド・リースバックは「売っても使い続ける」資金調達手段。
  • 実態が変わらない場合、売却益を即時に認識せず、繰り延べるのが原則。
  • 会計的には、「長期前受収益」として期間配分するのがポイント。

貸手のリース取引 ― 売上をいつ計上するか問題

社長白柴くん、うちがリースで機械を貸したんだけどさ、これっていつ“売上”にすればいいんだ? 貸した時? それともお金をもらった時?
経理貸手になった場合でも、借手の場合と同じで、ファイナンス・リース取引であれば売買、オペレーティング・リース取引であれば賃貸借で処理します。ただ、ファイナンス・リース取引であれば、実は貸手の会計処理には3つの方法があるんですよ!
社長 お、3つもあるのか!今回は、ファイナンス・リース取引だな。どういう方法があるんだ? やはり、投資の目線でも“いつ利益が出るか”は大事だからな。
経理では、社長が契約したリース料総額300,000円・購入価額210,000円・3年リース(各期リース料100,000円)で考えていきますね。

方法① リース取引開始日に売上高と原価を全部計上する方法

経理まずは一括計上型。リースが始まった日に、まとめて「売上300,000」「売上原価210,000」を全部計上します。
社長じゃあ開始日にドーンと利益90,000が出るってことか!😎
経理そうです。ただ、それだと“将来受け取る利息分”まで一気に利益になっちゃいます。だから決算では、まだ回収してない分の利益を、「繰延リース利益繰入」を使って、繰り延べるんです。
投資家そして、各期で均等に利益を戻していくんだな。「繰延リース利益戻入」で毎年30,000ずつ認識する感じだな。
社長なるほど!売上は最初に、でも利益は「繰延リース利益」を使って3年でじわじわ出していくわけか。
時点借方   貸方   備考
リース取引開始日リース債権 300,000売上 300,000販売価額はリース料総額
利息を含まず
売上原価 210,000買掛金 210,000資産の取得原価を原価計上
リース料受取時(各期)現金預金 100,000リース債権 100,000リース料の受取
決算時(1年目)繰延リース利益繰入 60,000繰延リース利益 60,000代金未回収部分の利益を
繰延べる
決算時(2年目)繰延リース利益 30,000繰延リース利益戻入 30,0002年目以降、繰延利益を戻入

方法② リース料をもらうたびに売上と原価を計上する方法

経理 2つ目は「リース料を受け取るたびに」売上を計上するタイプ。各期100,000円の受取時に、売上100,000、売上原価70,000を計上します。
社長開始日にではなくて、もらった時に売上計上か。しかも、分割計上ね。
経理はい。各期にリース料を受け取るたび、受取額100,000と売上原価70,000を対応させて、差額が利息になっています。
社長こっちは一気に売上を出さないから、こつこつ型って感じだな🐾
時点借方   貸方   備考
リース取引開始日リース債権 210,000買掛金 210,000利息を含まない
リース料受取時(各期)現金預金 100,000売上 100,000各期の受取リース料
売上原価  70,000リース債権  70,000原価と対応する売上原価
決算時決算整理仕訳なし

方法③ 売上を計上せず、利息だけを配分する方法

経理最後は「利息のみ配分する方法」です。
社長売上は計上しないのか⁉
経理はい。各期でリース料を受け取った時、「受取利息30,000」を計上します。
投資家つまり“金融取引”として見てるわけだな。貸手はモノを売るより“金利を稼ぐ”立場になる。           
社長リースなのに銀行っぽい処理になるんだな🐾
時点借方   貸方   備考
リース取引開始日リース債権 210,000買掛金 210,000利息部分を除いた金額で計上
リース料受取時(各期)現金預金 100,000
受取利息 30,000
リース債権 70,000
各期の利息相当額のみを収益認識
決算時決算整理仕訳なし
社長ちなみに、これらは、所有権移転でも移転外でも同じ処理なのか?
経理するどいです社長!特に科目名が変わるだけです。所有権移転であれば「リース債権」、移転外であれば「リース投資資産」で処理します。
社長 ふ~ん。名前が変わるだけか。じゃあ、今回はどうしようかな。どれでも利息部分は変わらないのかな?
経理はい。いずれの方法をとっても、各期の利息相当額は同じです。ただ、当社はリース会社ではないので、通常は3番目の利息のみを毎回計上していくのが通常です!

💡まとめ

  • 方法① リース開始日に全額計上:売上300,000(原価210,000)、利益90,000を期間配分(繰延リース利益)
  • 方法② 各期リース料受取時:売上100,000ずつ、各期30,000が利益
  • 方法③ 各期リース料受取時:売上なし、受取利息のみ、利息30,000ずつ収益

「リース取引」の本試験ポイント

ファイナンス・リース取引

  • リース料が半年払いの場合は、年間利率を1/2にして、年間支払回数を2倍にして割引計算します。
  • 基本的にリース資産の額は、リース料総額の割引現在価値がくるので、電卓を打ち間違えないようにしましょう。

オペレーティング・リース取引

  • オペレーティング・リースの物件が出題される場合、再振替や見越計上の理解を確認する目的から、ほぼ間違いなく期中取得になっています。
  • 期中取得の場合、決算時は未経過分の見越計上が行われ、翌期にはその再振替と次の見越計上が相殺されるため、最終的に1年分の支払リース料がP/Lに計上されることになります。

セール・アンド・リースバック取引

  • リースバック後の資産の減価償却費を計算する際の残存価額は、基本的に「売却前の資産の取得原価の10%」で求めます。問題指示がない限り、 「リース資産として計上した金額の10%」 を用いないよう注意しましょう。
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