【シバ犬🐾財務諸表論】財務会計総論Ⅰ
目次
第1話 財務会計の目的 ~責任? それとも意思決定?~
| 社長 | よしっ! 今日から社長として、ちゃんと会計の勉強をするぞ! |
| 経理 | おお、社長! それは素晴らしい心がけですね。 |
| 社長 | 日々の経営で「これって会計的にどうなんだ?」って思うことが多くてさ。分からないことはどんどん聞くから、よろしく頼む! |
| 経理 | 任せてください。私も財務会計は得意分野ですから。 |
| 社長 | じゃあ早速だ。うちの会社の決算書って、そもそも誰のために作っているんだ? |
| 経理 | 株主や債権者など、会社の外部にいる利害関係者のためです。これを扱うのが「財務会計」ですね。 |
| 社長 | なるほど。社内の管理用じゃないんだな。 |
| 社長 | じゃあ、その財務会計の目的は何なんだ? |
| 経理 | 大きく分けて2つあります。ひとつは「会計責任説」、もうひとつは「意思決定有用性説」です。 |
| 社長 | ふむ……名前だけ聞くと、ちょっと堅いな。 |
| 投資家 | 昔は「ちゃんと説明してるか」が重視された。でも今は、「投資判断に使えるか」が大事なんだ。 |
| 経理 | そうです。会計責任説は説明責任を果たすための会計、意思決定有用性説は判断に役立つ情報を提供するための会計と考えると分かりやすいですよ。 |
| 社長 | つまり、財務会計は「責任を説明する会計」から「役立つ情報を出す会計」に進化してきた、ってことか🐾 |
| 投資家 | そのとおり。だから、今の決算書は“数字の報告書”じゃなく、“判断の材料”なんだ。 |
第2話 財務会計の2つの機能 ~調整と情報のダブル任務~
| 社長 | 財務会計の目的は分かったけどさ。結局、財務会計ってどんな役割を果たしているんだ? |
| 経理 | 大きく分けると、役割は2つあります。 |
| 社長 | お、また「2つ」か。覚えやすくて助かるな。 |
| 経理 | ひとつは「利害調整機能」、もうひとつは「情報提供機能」です。 |
| 社長 | 利害調整……なんだか政治みたいな言葉だな💦 |
| 経理 | 簡単に言うと、立場の違う人たちの衝突を調整する役割です。 |
| 社長 | 衝突? うちは仲良くやってるつもりだけど。 |
| 経理 | 経営者は「できるだけ良く見せたい」、株主や債権者は「本当の姿を知りたい」。ここで利害がぶつかるんです。 |
| 投資家 | 都合のいい数字だけ出されたら、たまったもんじゃないからな。 |
| 経理 | そこで、一定のルールに基づいた決算書を作って、公平に情報を示します。これが利害調整機能です。 |
| 社長 | なるほど。会計が“共通のルールブック”になるわけか。 |
| 投資家 | もうひとつが「情報提供機能」だな。 |
| 社長 | それは、さっきの話で出てきた「意思決定」に関係するやつか? |
| 投資家 | そのとおり。俺たちが投資するかどうか判断する材料を出す役割だ。 |
| 経理 | 将来の利益やリスクを考えるための情報を提供する、という意味ですね。 |
| 社長 | つまり財務会計は、①立場の違う人たちのケンカを調整して、②投資や判断のヒントも与える。そんな二刀流の仕事をしているってことか! |
| 投資家 | いいまとめだな。だから決算書は重要なんだ。 |
第3話 利益の2つの顔 ~分け前と成績表~
| 社長 | ところでさ、会社って利益が出たら、分配したくなるよな。配当とか役員報酬とか……利益なんだから自由にしていいのか? |
| 経理 | それはダメです😅 勝手に分けると危険です。 |
| 社長 | えっ? 利益があるのに? |
| 経理 | 実は、利益には2つの大事な意味があるんです。 |
| 社長 | また「2つ」か。だんだん慣れてきたぞ。 |
| 経理 | ひとつは「分配可能性」、もうひとつは「業績指標性」です。 |
| 社長 | 名前だけ聞くと難しそうだな。 |
| 経理 | 「分配可能性」は、実際に分けても大丈夫な裏付けがあるか、という意味です。 |
| 社長 | 帳簿上は黒字でも、お金がなければ危ないってことか。 |
| 経理 | そのとおりです。将来の支払いを考えずに分けると、会社が立ち行かなくなります。 |
| 投資家 | もうひとつの「業績指標性」は、その年の経営成績を測る物差しだ。 |
| 社長 | 成績表みたいなもんか。 |
| 投資家 | そう。どの年に、どれだけ成果を出したかを見るための数字だな。 |
| 経理 | 問題は、この2つを同時に満たす利益をどう計算するか、なんです。 |
| 社長 | たしかに……配る視点と、評価する視点はズレそうだな。つまり利益って、「分け前」と「成績表」、2つの顔を持ってるんだな💰 |
| 経理 | はい。この2つは放っておくとズレてきますので、そこで、共通のルールが必要になってきます。 |
第4話 制度会計の世界 ~ルールがあるから信頼される~
| 社長 | ルールか~、さっきの利害調整機能の話でも出てきてたよな。じゃあやっぱりうちの会社の計算も社長が勝手にしちゃだめだよな? |
| 経理 | もちろんだめです。財務会計は、「制度会計」といって、法律のルールに基づいて行う会計なんです。 |
| 社長 | 制度会計? なにか制度があるのか? つまり、勝手にやっちゃダメってことか。 |
| 投資家 | そりゃそうだ。社長の気分で利益が変わったら、誰も信用しないからな。 |
| 経理 | そのとおりです。だから、会計には法律で決められた枠組みがあります。 |
| 社長 | 具体的には、どんな会計があるんだ? |
| 経理 | 代表的なのは3つです。 |
| 社長 | お、今回は3つか。 |
| 経理 | まず1つ目が 会社法会計。目的は債権者保護です。 |
| 社長 | 借入金をちゃんと返せる会社か、を見るための会計だな。 |
| 経理 | 2つ目が 金融商品取引法会計。こちらは投資家保護が目的です。 |
| 投資家 | 投資判断に使える情報を、会社間で比較できるようにするんだ。 |
| 社長 | なるほど。ここまでは前に聞いたな。 |
| 経理 | そして3つ目が 法人税法会計です。 |
| 社長 | 税金の会計、ってことか? |
| 経理 | はい。目的は適正・公平な課税です。 |
| 投資家 | 国の立場から見た会計、って感じだな。 |
| 経理 | 同じ利益でも、配当・投資・課税では目的が違いますよね。 |
| 社長 | たしかに……立場が違えば、見たい数字も変わるな。 |
| 経理 | だから、 |
| 経理 | ・会社法会計は「会社計算規則」・金融商品取引法会計は「財務諸表等規則」・法人税法会計は「法人税法」 |
| 経理 | それぞれ、別のルールに従っています。 |
| 社長 | つまり会計は、目的ごとにルールが分かれてるんだな。 |
| 社長 | でも、全部ルールがあるからこそ、数字が信頼されるわけか🐾 |
| 投資家 | そうだ。ルールのない会計は、誰の役にも立たない。 |
第5話 会計公準 ~会計の3つの土台~
| 社長 | ここまでで、会計にはルールがあるのは分かった。ただ、そのルールはやっぱり難しんだろー? |
| 経理 | 確かに難しいですが、実は、会計には暗黙の土台となるものがあります。 |
| 社長 | 土台? |
| 経理 | はい。会計を行うための大前提、つまり「これを前提にしないと会計が成り立たない」という考え方です。 |
| 社長 | 前提条件みたいなもんか。 |
| 経理 | そのとおりです。この会計公準は3つあります。 |
| 社長 | よし来た、3つ!😆 |
| 経理 | まず1つ目が「企業実体の公準」です。 |
| 社長 | いきなり難しいぞ。 |
| 経理 | 会社と社長個人は、別の存在として扱うという前提です。 |
| 投資家 | 会社の財布と、社長の財布は別ってことだな。 |
| 社長 | ……それ、経理によく怒られるやつだ😅 |
| 経理 | 2つ目が「継続企業の公準」です。 |
| 社長 | それは? |
| 経理 | 会社は半永久的に事業を続けていくとされるので、人為的期に会計期間を区切るという前提です。 |
| 投資家 | どこかで区切って事業を評価しないと、会社がどういう状態なのかが分からないからな。 |
| 社長 | なるほど。「続く前提」だから、区切る数字に意味が出るわけか。 |
| 経理 | そして3つ目が「貨幣的評価の公準」です。 |
| 社長 | これは何となく分かる気がするぞ。 |
| 経理 | 会計では、すべてをお金の単位で表すという前提です。 |
| 投資家 | 社員のやる気とか、社長のカリスマ性は数字にできないからな。 |
| 社長 | 確かに……それは決算書に書けないな。 |
| 経理 | この3つがそろって、初めて会計は成り立ちます。 |
| 社長 | つまり会計公準って、 |
| 社長 | 「誰を会計か」「いつからいつの会計」「どんな数値の会計か」その前提を決めたものなんだな🐾 |
| 投資家 | いいまとめだ。その土台があるから、数字が信用できる。 |
第6話 会計主体論 ~誰の目線で会計する?~
| 社長 | ここまでで、会計の前提やルールは分かってきたけどさ。結局、会計の判断って、誰の立場で考えるのが正解なんだ? |
| 経理 | いいところに気づきましたね。それが「会計主体論」です。 |
| 社長 | 会計主体……つまり、主役は誰かって話か。 |
| 経理 | そのとおりです。会計主体論には、大きく2つの考え方があります。 |
| 社長 | 2つに戻ったな! |
| 経理 | ひとつ目は「資本主理論」です。 |
| 社長 | 資本主ってことは……出資者の目線か? |
| 経理 | 正解です。出資者の財産を記録・計算するという考え方です。 |
| 投資家 | 会社は、出資者の財布の延長、みたいなイメージだな。 |
| 社長 | 個人商店っぽい感じがするな。 |
| 経理 | まさにそうです。 |
| 経理 | もうひとつが「企業主体理論」です。 |
| 社長 | これは名前からして、会社そのものが主役だな。 |
| 経理 | はい。会社を出資者から独立した存在として考えます。 |
| 投資家 | この考え方だと、会社が稼いだ利益は、まず会社に帰属する。 |
| 社長 | すぐに「社長のもの」になるわけじゃないんだな。 |
| 経理 | そうです。配当として分配されるまでは、企業の利益です。 |
| 社長 | なるほど……。 |
| 社長 | じゃあ、実際の会計では、どっちの考え方を使ってるんだ? |
| 経理 | 株式会社の会計では、企業主体理論が基本です。 |
| 投資家 | 出資者が多くて、会社が独立して活動してるからな。 |
| 経理 | 一方で、個人商店や家族経営では、資本主理論的な考え方がなじみやすいです。 |
| 社長 | つまり、 |
| 社長 | 「誰を会計の主人公にするか」で、数字の見え方が変わるってことか🐾 |
| 経理 | はい。それを意識すると、会計の考え方が一段クリアになります。 |
第7話 貸借対照表観と利益計算 ~静かに?動いて?~
| 社長 | ここまで来て、最後に気になってることがあるんだ。貸借対照表って、「静的」とか「動的」とか言うだろ? あれ、何が違うんだ? |
| 経理 | いい質問ですね。それは貸借対照表をどう見るかという考え方の違いです。 |
| 社長 | 見方が違うだけで、意味も変わるのか? |
| 経理 | はい。代表的なのが「静態論」と「動態論」です。 |
| 社長 | 名前からして、真逆っぽいな。 |
| 経理 | まず「静態論」は、今ある財産を重視する考え方です。 |
| 社長 | 財産ってことは…… |
| 経理 | 会社がどれだけ財産を持ち、債務をきちんと返せるか。つまり債務弁済能力を示します。 |
| 投資家 | 清算しても大丈夫か、を見る目線だな。 |
| 社長 | なるほど。動かさずに「今どうか」を見るわけか。 |
| 経理 | 一方の「動態論」は、会社がどれだけ稼いだかを重視します。 |
| 社長 | おっ、こっちは分かりやすいぞ。 |
| 経理 | 一定期間の取引の流れから、収益力=期間利益を計算する考え方です。 |
| 投資家 | 現代会計は、基本的にこの動態論寄りだな。 |
| 社長 | だから損益計算書が重要なんだな。 |
| 経理 | そうです。 |
| 経理 | ちなみに、利益の計算方法にも2つあります。 |
| 社長 | 最後も2つか。もう慣れたぞ。 |
| 経理 | 「財産法」と「損益法」です。 |
| 社長 | 財産法って? |
| 経理 | 期首と期末の純資産の差額で利益を求める方法です。 |
| 投資家 | 一方の損益法は、収益から費用を引いて利益を出す。 |
| 経理 | 現在の会計では、損益法が中心です。 |
| 社長 | つまり今の会計は、 |
| 社長 | 「財産をじっと眺める」より、「取引の動きで稼ぐ力を見る」ってことか。よし! うちは“動いてナンボ”の会社だ!💪 |
| 経理 | そのためにも、「名目資本維持」を意識することが大切です。 |
| 社長 | 投下した資本は、きちんと守った上で利益を出す、ってことだな。 |
| 投資家 | それができてこそ、本当の意味での利益だ。 |