【シバ犬🐾簿記論】税金

目次

法人税、住民税及び事業税 -儲けと見栄えにかかる税金たち

会社にかかる税金 

社長白柴くん、決算書ができたぞ!今年の税引前当期純利益、すごい額だ!これで税金もたっぷり払って、社会貢献だ!
経理はい社長!では、ここから税金を差し引いて、最終的な当期純利益を出しましょう!
社長会社だから法人税がかかるんだよな!
経理はい。ただ、他にも税金はあります。法人税のほかに、住民税と事業税も会社は納めないといけないです。
社長え~、そんあにあるのか~。じゃあ、この「税引前当期純利益」から、その税金たちを引いて「当期純利益」を出す感じだな?
経理そのとおりです!決算時には、年間の税金負担額を「法人税等」として費用に計上します。
社長おっ、3つまとめていいのか。簡単だな。
投資家事業税だけ少し特殊だな。事業税のうち、「所得割」は法人税等に含めるが、「付加価値割及び資本割」は租税公課で処理する。
経理さすが黒柴さんですね。付加価値割と資本割は外形標準課税と言って、会社の利益ではなく売上高や資本金などの外形的な事業規模で決まるものだからですね。
社長ふーん。それにしても、やっぱ税金って種類が多すぎだろ😢シンプルに会社なら法人税だけにしてくれ💦

税金の仮払いと確定納付の仕組み

社長あれっ白柴くん、この「仮払法人税等」って何だ?税金はまだ払ってないはずだけど…
経理社長、それは中間納付源泉徴収税額のことです。一年間の途中で、すでに税金を前払い(仮払い)している分があるんですよ。
社長ああ、期中に少しずつ先に払っておくやつか。銀行の利息から引かれてるのもそうだったな。あれが「仮払法人税等」になるのか!
経理はい。源泉徴収された所得税などは、会社にとっては法人税の前払いとして処理します。
投資家中間納付源泉徴収も、国から見れば税金の早期徴収。企業から見れば、確定年税額を支払う前の仮払いだ。
社長じゃあ、決算の時、費用として計上する「法人税等」(確定年税額)から、この「仮払法人税等」を引くんだね?
経理そのとおりです!引いて残った額が、これから確定申告で納付する義務のある金額、すなわち「未払法人税等」として負債(B/S)に計上されます。
社長なるほど!確定年税額中間納付額 = 未払法人税等、ってことか!最終的に未払法人税等を納付すれば、税金処理は完了ってわけだね。
経理(図を見せながら)会計処理の流れはこんなイメージです。未払法人税等は、確定申告後に支払う負債としてB/S(貸借対照表)に表示されますよ。
社長複雑だけど、前払い分を引くっていうのは合理的だ。じゃあ、事業税の外形標準課税の部分だけは「租税公課」として、販売費・一般管理費になるってところも覚えておくぞ!🐾
投資家未払法人税等は、決算後2カ月以内に支払う流動負債だ。キャッシュフローへの影響を投資家はチェックするぞ。忘れるな!

法人税等の会計処理の流れ(イメージ)

項目処理内容勘定科目表示箇所
期中前払い分(中間納付、源泉徴収)を計上仮払法人税等(資産)B/S(流動資産)
決算時1年間の税金負担額を計上法人税等(費用)P/L(末尾)
確定年税額から仮払分を控除した残額を計上未払法人税等(負債)B/S(流動負債)
翌期未払法人税等を納付未払法人税等を減少キャッシュアウト

消費税等 -「仮」で預かって「仮」で払う

期中処理 

社長白柴くん、今期の売上は絶好調だ!預かった消費税もたくさんあるぞ!このまま全部納税しちゃうのかい?💰
経理社長、ちょっと待ってください!私たちが預かった税金(仮受消費税等)を全額納めるわけではありません。
社長え、そうなの?消費者から100円分預かったら、100円納めるんじゃないのかい?💦
経理違います。仕入れや経費で私たちが支払った税金(仮払消費税等)を差し引くんです。私たちが預かった額から、支払った額を引いた差額を納めます。
投資家生産から販売までの付加価値にかかる税だからな。販売業者は、仕入れの段階で払った分を差し引かないと二重課税になる。
経理そのとおりです。日常の仕訳で、売上時は仮受、仕入時は仮払を使っておいて、決算でそれを相殺(ネッティング)するんです。この方法を税抜方式といいます。
社長なるほど!俺たちは税金の中継ぎ役ってことだね。見た目はスルーして、プラスマイナスゼロになるわけか!✨
経理会計上の仕組みを簡易に理解する上では、そのとおりです!この相殺後の残高が、私たちが国に納めるべき未払消費税等になるわけです。

決算処理

社長じゃあ、この相殺で出た「未払消費税等」を納めればOKだね!白柴くん、早く計算してくれ!
経理実は、ここで問題があるんです。会計上の相殺残高(仮受-仮払)と、税法に基づいて算出された確定年税額は、端数処理などの関係でズレることがあるんです。
投資家会計は簿記ルール、税務は消費税法ルール。ルールが違えば結果も違う
社長えぇっ!じゃあ、どっちの金額を納める義務があるんだ?帳簿の数字は嘘になるのかい?😢
経理私たちが負うべき最終的な納税義務は、税法上の「確定年税額」が基準になります。つまり、決算ではこの税務上の義務に合わせて帳簿を修正しなくてはなりません。
経理まず、会計上の残高と、税務上の確定年税額の差額を計算します。この差額を雑収入や*税公課(雑損失)として処理するんです。
社長なんだかややこしいな。帳簿が100って言ってるのに、税法が120だと言ったら、20を追加で費用として払うってことか?
投資家そのとおり。そして、既に払ってある中間納付額があれば、それも引いて、最終的に実際に払うべき額(確定納付額)だけを未払消費税等として負債計上する。
経理B/Sに計上する未払消費税等は、必ずこの確定納付額に合わせます。ここが、消費税で最も重要な処理です!📝
社長なるほど!帳簿のズレを損益計算書で費用・収益化して、貸借対照表の負債は真の納税義務額に合わせるんだね。よし、これで今期の決算も乗り切るぞ!

租税公課 - 利益と無関係な費用たち

社長白柴くん、他にも会社が払う税金ってあるよな? 固定資産税とか。
経理そのとおりです、社長!それが「租税公課」という勘定科目で処理されるものになります。
社長租税公課? さっきの法人税や消費税とは、やり方が違うの?
経理はい。法人税等が利益の額に連動して課税されるのに対し、租税公課は利益の大小とは無関係に、会社が負担する税金や公的な負担金のことです。
投資家法人税等はP/Lの末尾で特別に扱われるが、租税公課は通常、販売費及び一般管理費として費用計上される。チェックポイントはここだ。
経理租税公課の主な例としては、固定資産税不動産取得税印紙税などがあります。事業税の一部(外形標準課税分)もここに含まれます。
社長なるほど。じゃあ、固定資産税を払うときは、租税公課を計上すればいいんだね?
経理そのとおりです。ただし、期中で納税通知書が届いて金額が確定した時点では、未払税金を計上しますよ。
社長未払税金?「未払法人税等」と同じ負債の仲間か。
経理はい。「未払法人税等」と同様に、「未払税金」は未払金の一種で、経過勘定の「未払費用」とは区別されます。金額が確定した時点で負債を認識するんです。
社長ふむ。印紙税は、収入印紙を買った時点で費用(租税公課)にするんだな。
経理印紙を購入したときは「租税公課」や「貯蔵品」などで処理しますが、いずれにせよ、契約書などに貼付して使用した時点で費用化されます。
投資家「公課」とは、税金以外の公的な負担(会費、組合費など)も含む。費用として計上されるこれらの支出も、経営効率を見る上で重要だ。😢

表示区分 - どこに、どうやって見せる?

社長白柴くん、今まで税金の話をしてきたけど、結局、この色々ある税金は決算書のどこに表示されるんだ?
経理社長、いい質問です!税金には、P/L(損益計算書)の末尾に表示されるものと、販管費に含まれるもの、そしてB/S(貸借対照表)の負債資産になるものがあります。
投資家法人税等は別格で、P/Lの最終調整役だ。その他の費用は、費用性の高さに応じて上の方(販管費など)に置かれる。
経理まず、P/Lの末尾には「法人税、住民税及び事業税」として表示されます。事業税のうち所得割の部分もここに含まれます。
社長事業税って、外形標準課税分(付加価値割、資本割)があったよな?あれはどこに?
経理それは租税公課として、P/Lの販売費及び一般管理費に計上されます。利益の有無に関わらず発生する費用だから、法人税とは表示が分かれるんですよ。
社長なるほど!利益連動する所得割は末尾、利益無関係外形標準課税販管費租税公課、ってことか!
経理そのとおり!そしてB/Sでは、未納分は「未払法人税等」(負債)に表示されます。事業税のすべての未払分もこの勘定に一括して入れます。
投資家消費税も重要だ。確定納付額は「未払消費税等」か「未収消費税等」としてB/Sの流動負債または流動資産に載る。
社長印紙税はどうなるんだ?使った分は「租税公課」だけど、買ってまだ使ってない収入印紙は?
経理使っていない収入印紙は、まだ費用ではなく財産ですから、貯蔵品勘定に振り替えて次期に繰り越します。現金預金から資産に変わるイメージです。
投資家ちなみに、消費税の会計処理方法(税抜方式か税込方式か)は、財務諸表の注記に必ず書かなきゃいけないルールがある。投資家はそこもチェックする。
社長ふむ。どの税金が、P/Lのどこに費用として表示され、B/Sのどこに未払負債として表示されるか、しっかり区別する必要があるんだな。ありがとう!🐾

「税金」の本試験ポイント

法人税、住民税及び事業税

  • 法人税等追徴税額、法人税等還付税額はいずれも+や△は不要です。

消費税等

  • 車両売却においては、売却代金(税込)の10%が仮受消費税等(貸方)として計上されます。
  • 貸倒れの場合は、貸倒債権(税込)の10%が仮受消費税等(借方)として処理されます。
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